暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第一章 WORLD LINK 〜Grand Prologue〜
Air 〜生きる、ゴール、スタート〜
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
ある物語の終末

少女と母が向きあい、言葉を交わす。


「もう一度だけ、がんばろうって決めた、この夏休み。
 往人さんと出会ったあの日からはじまった夏休み。
 いろんなことがあったけど、つらかったり、苦しかったりしたけど

 私、がんばってよかった!

 私のゴールは幸せと一緒だったから、ひとりきりじゃなかったから
 だから、だからね、もうゴールするね・・・ 」


「あかん、観鈴。きたらあかん、ゴールしたらあかん!はじまったばっかりやんか、昨日やっとスタートきれたんやないか!取り戻していくんや、10年前にはじまってたはずの幸せな暮らしを、これから観鈴と取り戻していくんや!うちらの幸せは始ったばっかりやんか! 」





海辺で母と子が抱き合う。

母の名は神尾晴子
少女の名は神尾観鈴

いま彼女の命は古の呪いに蝕まれて、消えようとしていた。



[Gate Open---Air]


その海辺のある町のとある一軒家の屋根の上。



そこにゲートが開く。

と、同時に蒔風が飛び出し、海辺に向かって跳躍した。
隣を見遣ると時空が歪んで「奴」も現れた。


「蒔風ェ!わかってんな!?」

「奴」の叫び。
それで、蒔風は瞬時に理解した。


「くそっ、仕方ねぇ!」

ガシッ!!


蒔風の腕を「奴」が掴み、海辺の親子に向かって投げ放った。




蒔風が二人に急接近する。
蒔風が力を借り受け、右手が淡く光る。

「その|悲劇(幻想)!いまここでぶち壊す!!」


ダンッ!

蒔風が着地する。
晴子は突如として現れた蒔風から観鈴を守ろうと身体を振る。
しかし蒔風はそれに構ってる暇はないのだ

「彼女を死なせたくないならどいてくれ!」

蒔風が半ば強引に晴子を退かし、右手を背中に当てる。

バギン!!と砕けた音が鳴り響く。

消えようとしていた彼女の命が留まる。
蝕んでいた呪いが身体から消えた。


「っは!・・・・・ごホッ・・・お・・・お母さん?」

「み、観鈴?観鈴!!大丈夫なんか?なああんた!!観鈴はもう大丈夫なんか!?」

「大丈夫に決まってます。そうじゃなきゃ、オレが困る」


答えたのは蒔風ではない。

三人がいる海辺の町側の堤防の方に「奴」がいた。
浜辺に降り立ち、こちらに歩いてくる。


「最主要人物に消えられて、そいつにまで死なれたら困るし」

「あ・・・あんたも助けてくれたんか?」

疑問を口にする晴子。
それに答えたのは「奴」ではなく蒔風だ。


「確かに助けてはくれた・・・だが決して味方じゃない」

「どういうことや?」


[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ