第十五話 変わる為にその八
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「そうして」
「そう、学校に通うの」
「そうなるのね」
「ええ、アパートの家賃や学費は姉さんが送るから」
優子は優花にこのことも話した。
「だからね」
「お金のことも」
「安心してね、これでも姉さんお給料高いのに」
「そんなになんだ」
「うちの病院はお給料高いの」
八条大学附属病院はというのだ。
「とてもね」
「そうなのね」
「だからね」
「お金のことも」
「気にしないで」
心配は無用というのだ。
「安心してね」
「それじゃあ」
「時々そっちに行くし」
「そうしてくれるんだ」
「ええ、その時は長崎で楽しく遊びましょう」
「実はね」
ここで優花は龍馬、彼が言ったことを話した。
「龍馬もそう言ってくれてるんだ」
「やっぱりそうなのね」
「うん、龍馬もね」
「そうね、龍馬君はね」
優子は弟の言葉を聞いてだ、微笑んで述べた。
「絶対にそう言ってくれるわね」
「そうだよね、龍馬は」
「そして実際に動いてくれるわ」
「言うだけじゃなくて」
「あの子はね」
そうした人間だというのだ、龍馬は。
「真っ直ぐで友情を大事にしてくれる子だから」
「龍馬っていい人だよね」
「あんなにいい子はね」
それこそというのだ。
「あまりいないわよ」
「そうだよね、けれど僕はね」
「その龍馬君が貴方を受け入れてくれるか」
「不安だったよ」
つまり完全に信じきれなかったというのだ、彼を。
「本当にね」
「だからそれは誰でもよ」
「思うことだっていうんだね」
「そう、人を完全に信じることは難しいことだから」
「勇気がいるよね」
「私もそうだったから」
「僕と最後まで一緒にいられるか」
優花はその優子を見て言った。
「そのことが」
「そう、不安だったから」
「僕姉さんはずっと一緒にいてくれると信じてるけれど」
「その信頼に応えられるか」
このことがというのだ。
「自信がなかったの」
「そうだったっていうわね」
「そう、本当にね」
それこそというのだ。
「私は怖かったわ、けれど勇気を出して」
「そしてだったよね」
「何があっても最後の最後まで貴方を守ることにしたの」
「そうだったんだね」
「高校の時嫌なものも見たわ」
優子はここでその整った眉を顰めさせた、そのうえで嫌なものを今も見ている顔で優花にその話を話した。
「告白をけしかけてね」
「それでけしかけられた人が告白して」
「振られたけれど」
「けしかけた人達はなんだ」
「そのことを責められそうになったらね」
「けしかけた人に責任を押し付けてなんだ」
「自分達は手の平を返して攻撃する側に回ったの」
そうしたことを見たというのだ。
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