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ムーンライト・オキナワ
ムーンライト・オキナワ
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に移ろうしていた。
 そうなると、オリジナルマモーの凍結死体から無事なDNA配列が出てきた場合、マモーの復活の可能性があるのだ。
 実際、統一戦争の裏で暗躍していたマモーのクローンはそれを狙っていた。

「はなたばはおくれましたか?」

「ああ。
 ちゃんと送ったさ。
 喜んでくれるかなぁ」

 白々しそうに笑う泥棒が送った花束の名前は、JASPEXS1。
 資源の大部分を輸入しているこの国を変える太陽発電衛星で、将来的には月面にあるヘリウムを使った発電の中継機として用いられる予定のものである。
 彼はそのシステムに忍び込み、マモークローンが把握していた漂っているマモーの脳を巨大な電子レンジでもある発電衛星で焼いたのだった。
 こうして、何万年も人類を管理していた化物は人知れずに死んだ。
 泥棒が少女になにか言おうとして黙る。
 ぼかして言ったはずなのだが、少女が手を合わせたからだ。
 
「ありがとうよ。
 手を合わせてくれて」

 車を止める。
 少女に迷子用の発信機がついている事は少女に声をかけた時から分かっていた。
 そして、少女が無事な限り泥棒に下手な手出しはしないだろうとも。
 だからこそ、逃走の為に彼女を誘拐した。
 泥棒は海岸線の歩道に出て海に向かう。
 その先には、海を挟んで方舟都市が月夜に照らされている。

「ありがとうよ。
 お嬢さん。
 もう会うことはないと思うが、達者でな」

「どうして?」

 泥棒の声が楽しそうに弾む。
 別れを惜しむのではなく、別れを悲しむのでもなく、また会えるのにと疑問をぶつけてきたのはこの少女が初めてだったから。
 そして少女は、その確信を泥棒に告げる。

「わたしもいけるから。
 あのそらのむこうに。
 だったら、あのそらのうえであえるわ」

「……そっか。
 じゃあ、約束だ。
 あの空の上で、お嬢さんがとびきりいい女になったら、泥棒さんがさらいに行くよ」

 少女の手の甲に泥棒が口付けする。
 その手を見つめた少女が視線を元に戻すと、泥棒は既に居なくなっており、パトカー数台がこの場にやってきたのとほぼ同時だった。 

 

「以外にあっけないものだったな」

 そんな事を呟きながら、統一戦争の英雄になった老人は打ち上げ会場を後にする。
 そんな彼に近づいてくるトレンチコートの男が敬礼して用件を告げた。

「銭形と申します。
 昨日の夜の誘拐未遂事件についてお話を伺いたく」

「あの件で私が話すことなんて何もないよ。
 孫がナンパされてドライブに連れだされた。
 それでいいじゃないか」

 ルパンには統一戦争の開戦理由という恩がある。
 あげくに、彼が北日本政府中枢で暴れた結果、核攻
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