人馬の男〜小さいおじさんシリーズ8
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きり私はこの人馬は同」「わー黙れ!!」「貴様!ほんと貴様は!!」
豪勢と端正二人がかりで白頭巾を抑え込む。呂布は豪快に笑った。
「もうそんなビビるなよー。お前面白い奴だな、こないだ一緒にいたあの豪傑も呼べよ」「妻です」「妻!?」
すげぇ喋るし、喋りながらも周囲への目配り気配りを忘れないし…この男、奴らより余程出来た男じゃないか。
「…いい酒だな、これ」
「応、余も常々それは思っていた」
恐る恐るだが、豪勢が打ち解け始めた。いつも各々が好き勝手に呑むので端正の居た辺り以外は散らかっているのだが、今日は呂布がちょいちょい片付けてくれている。
「これでいい女が酌をしてくれたらなぁ。おい公ちゃん、二喬呼んでよ」
「何故貴様らはまとめるのだ!そして何故酒の席に呼びたがるのだ!!」
「お得感があるんだよな、二人だし」
そう云って呂布は豪快に笑う。
「ならば卿のところの貂蝉を呼ん」
端正は言いかけた言葉を呑み込んで、ぐっと唇を噛んだ。豪勢はハラハラしながら、白頭巾は興味深げに呂布の表情を伺う。呂布はふと、月を仰いで呟いた。
「―――気の毒、したなぁ。あの子には」
―――え?
「特に身分の高い娘ではなかった。乱世にあらねば、幸せな人生を送れただろうに」
「………ほう」
白頭巾が考え込むように俯いた。羽扇の裏側で、なぜか渋い顔をしている。
「娘が嫁ぐ年になって思い知らされた」
さっきまで盛んに汲んでいた杯を置いて、深くため息をついた。
「俺たちは…俺や董卓、王允が…美しかった故に、皆が寄ってたかってあの子の人生を蝕んだのだなぁ。俺亡きあと、あの子はどんな悲惨な生を送っただろうか…何人の男達に、組み敷かれただろうなぁ…」
え?貂蝉て呂布が董卓を討ったあと、自害したんじゃないの?
「貂蝉が自害するのは、吉川英二の小説のみです」
俺の方は一切見ず、なのに俺の心を読んだかのように、白頭巾がよく通る声で呟いた。
「ん?何だ?」
「………日本の小説では、貂蝉は董卓死後、すぐに自害したことになっている、そうですよ」
「へぇ、そうなのか。ははは……」
……月を覆っていた雲は、いつしか晴れていた。呂布は静かに膝を立てた。
「さて、と。久々の酒宴の気配に呼ばれて、つい長居してしまったようだ…じゃあ、な」
「え、ちょっと待ってくれ、俺はもう少し卿と…」
分かる!端正の気持ちよく分かる!こいつ、あの二人よりずっとまともな良い奴だもの!!
「お、そうか?じゃもう少し……」
その時だ。『奴』が信じられない暴挙に及んだのは。
腰を浮かした姿勢のまま、呂布が固まった。だかっ、だかっ、だかっ……遠くからでも分かる荒々しい馬蹄の響き。端正が、ばっと白頭巾を振り返った。
「き…貴様……!!」
燃え
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