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俺の四畳半が最近安らげない件
人馬の男〜小さいおじさんシリーズ8
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だぞ!!」
「あれ、私のせいですか。なんと恐ろしき責任転嫁」
「おのれ、小学生のような嫌がらせを…!」


―――ああ煩い。早く月出てくれ。


「うははは…そうなると頭が困るな、二つある!」
「悩ましい、ところですね…どちらが本体に相応しいか」
「悩むなよ流石に」
「だって赤兎馬だぞ!?確実に呂布より頭いいだろ」
おっさん達は口々に呂布をコケにしながらゲラゲラ笑い始めた。なんかこいつら、人の悪口言うときだけは仲いいよな……。


襖が、からり……と開く音がした。まず最初に振り返った白頭巾が、羽扇をとり落とした。


「呂……」
「呂布!?」
豪勢がびくりと肩を震わせて、猪口を落とした。底の方に残っていた酒がとろりと零れた。正直、俺も驚いている。

もしかして俺、赤兎馬に乗ってない呂布、初めて見た…?

「なー、昔みたいに奉ちゃんて呼んでくれよー」
間延びした口調の気さくな男は、軽々と炬燵の高台によじ登ると大股な足取りで豪勢に近づき、どっかりと腰を下した。もう完全にびびっている豪勢の肩に腕を回して、男は豪快に笑う。どちらかというと小柄な豪勢と並ぶと、巨躯が際立つ。


ていうかこいつ、なんか…普通だ!極めて普通の気さくなおっさんだ!!


「なー、孟ちゃん!!…お、なになに、旨そうなもの食ってるな」
ポカンとしている3人を横目に、彼は当然のように酒宴に入り込み、つまみに出しておいた枝豆の皮を剥いて配り出した。端正が、辛うじて上ずった声を出す。
「卿…この男を奉ちゃんとか呼ぶ仲だったのか…?」
「え…いや…呼んだことない…」
指先の震えが止まっていない。当然だろう。俺が覚えている限り、豪勢と呂布は……。
「ごめんな〜、あの時は。でも俺も立場的にさぁ。だからほれ、呑め。杯持てよ」
呂布は慣れた手つきで黒じょかを傾けると豪勢の杯を満たした。さっきからすごい気さくなんだが、フレンドリーにされればされるほど、豪勢の表情が強張っていく。
「そっちの綺麗な顔の兄ちゃんは…うーん、なんか見たことあるぞ、あれだな、呉の貴族のボンボンだろ」
「………俺は」
「オッケー知ってる知ってる。俺は頭悪いが名前覚えるのは得意なんだ。公ちゃんでいいな!呑んでるか?この…肉みたいなやつ旨いな、何ていうんだこれ」
ハムを食べやすいように切り分けて、またもや取り分ける。
「いつもの馬は、どうしたのですか」
唯一びびっていない白頭巾が、興味深げに呂布をまじまじと見つめる。さすが白頭巾、俺たちが聞きたくて聞きたくて気が狂いそうなのに聞けなかった事を、空気読まずにズバッと聞いてくれる!
「今日は留守番だ。飲酒運転はいかんだろ?」
そう云って悪戯っぽく笑う。なにこの好男子。
「ほう、そんな事が可能なのですか。てっ
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