7.父は鼻の下を伸ばし、母は乙女に戻る
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。来たよーかずゆきー」
その二人の陰に隠れていたのは、いつもの鈴谷だ。
「なんか鈴谷に向ける視線だけ妙にテキトウじゃない?」
「お前は毎日来てるだろ……」
会うたびに熱い視線を向けてるなんて……そりゃ完全に恋する乙女じゃんか……
「まぁそれはそれとして……ちょっとかずゆき……」
「んあ?」
「なんかさ……おじさんとおばさん、変じゃない?」
鈴谷が僕にこう耳打ちしてきた。別にそんなわけがなかろうとチラッと二人の様子を見てみると……
「私たちは生前、ひこざえもん提督に大変お世話になっておりました」
「いや! いやあの! こちらこそ!! 親父がいつもお世話になっておりまひゅ!!」
「本日はこのような機会を我々に与えていただき、大変感謝している」
「そんなッ! めっそうもございませんわ那智さま! さぁさぁ! 何もないところではございますが、どうぞお上がりください那智さま!!」
あら……確かに二人ともなんか変だわ。父ちゃんは和服美人の妙高さんに視線か釘付けで鼻の下がいつもの五倍ぐらいの長さになっていて、母ちゃんは制服美人の那智さんを見つめるその瞳の中にハートマークが見えている。
「む……姉さん」
「はい。それでは失礼いたします」
「どうぞどうぞ! 狭っ苦しいところですが!!」
妙高さんは履いている草履を脱ぎ、那智さんもブーツを脱いで玄関を上がる。妙高さんが自身の草履の位置を美しい仕草で直し、那智さんもブーツの位置を綺麗に揃えていた。そしてそんな二人を熱い眼差しで見守る父ちゃんと母ちゃん。これは……
「恋だね。キリッ」
「言うなよ……言うのを必死に我慢してたんだから……」
二人ともさー……もういい歳なんだし、お互い自分の横に人生の相方がいるじゃないか……それに母ちゃん、相手は女性だそ? なんてことを考えていたら、母ちゃんのボソッとしたつぶやきが聞こえた。
「はー……女子校時代を思い出すわ……久しぶりにときめく……」
聞かなかったフリ……聞かなかったフリ……聞こえなかった……僕は何も聞こえなかったんだ……
その後は危険極まりない雰囲気の父ちゃん母ちゃんを強引に居間に閉じ込め、僕と鈴谷の二人で妙高さんと那智さんを和室に案内した。
「……貴様が和之か?」
その途中、那智さんからこんな風に声をかけられた。『貴様』ってのが古い時代では敬称として使われていたというのは知っていたけど、妙に威圧感を感じるんだよね那智さんて……。
「そうですよ。爺様がお世話になりました」
「いや、ひこざえもん提督に世話になったのはこちらだ。……なるほど。提督の孫だけあって、いい面構えをしている」
……どういう意味?! いい面構え?! なにその戦国時代みたいな
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