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忘れ形見の孫娘たち
7.父は鼻の下を伸ばし、母は乙女に戻る
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口をパクパクさせることしか出来なかった。

 いや、言われてみれば確かにそっくりと言えなくもない。この写真に写ってる女性から気合を思いっきり抜いて柔らかい感じにして、そのまま綺麗に歳を取らせれば婆様になると言われれば、確かにそう思えなくもない。

 でも、それだって言われてみればの話で、しかもじっくり写真を見てはじめて分かることだぞ? 母ちゃんはチラ見だったよね? しかもそっくり?

「そっくりじゃない。この写真の婆様だって、女の子らしくて柔らかい感じがするじゃない」
「いやいやいや……これどう見ても幼馴染のガキ大将がそのままおっきくなったみたいな子ですやん? 僕の婆様、こんなキッてしてませんやん?」
「分かってないねー和之。父ちゃんも」

 うお。なんか母ちゃんに無駄に煽られている気分だ……。

「それはそうと和之、鈴谷ちゃんたちはいつ頃来るって?」
「あ、ああ……夕方ごろになりそうってさっきメッセージが来てた。今日挨拶に来る二人は忙しくて、それぐらいの時間にならないと来れないんだって」
「あそ。んじゃ晩御飯にはちょうどいいかもね。今日も食べていってもらおっか。……さーてそしたら晩御飯の準備準備ー……」

 母ちゃんは言いたいことを全部言うと、再び鼻歌交じりに台所に消えていった。後に残されたのは、写真の女の子が誰なのかわからず、母ちゃんに煽られてしまった無能な男が二人だけ……。

「父ちゃん……母ちゃんってすげー……」
「だろ……」

 そうしてしばらく経って夕方頃、来客を告げるピンポンがなる。恐らくは鈴谷だろう。

「はいはーい。今開けますよー」
「どうせならこっちも家族総出で出迎えてやろう」
「今日はどんな子が来てるのかな?」

 玄関には、僕と、面白半分で揃った父ちゃん母ちゃんの三人が立っている。

「別に来なくていいじゃない……」
「面白そうだからいいじゃない」
「鈴谷ちゃんたち、びっくりするぞーへっへっへっ……」
「とうちゃん……キモい笑いはやめてくれ……」

 びっくりなんかするわけないじゃんと思いつつ、ドアを開ける。開けたドアの先にいたのは、鈴谷ではなかった。

「……はじめまして。妙高と申します」
「ずぎゅぅぅうううん」

 一人は、綺麗な紫色の着物を着た艶っぽい女性。とても綺麗でツヤのある黒髪をシニヨンでまとめていて、白くて細いうなじが映える、とても色っぽい女性だった。そして……

「私は那智だ」
「ずぎゅぅぅうううん」

 もう一人は、同じく紫のかっちりした上下のスーツを着て(なんとなくコスプレっぽい感じだけど……)、同じくツヤのある綺麗な黒髪をサイドテールに結っている、とても凛々しい顔つきをした女性だった。

「ちーっす! 遅くなってごめんねー
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