第14夜 狡知
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全然気づかなかったろう?」
そう語るトレックの片手には、空になった水筒。
微かに残った水滴が、ぴちゃり、と沼に落ちた。
「泥水……これはいい触媒だ。水を操れる『流』と大地を動かす『地』を同時に扱う事が出来る。こいつを持ってきていて本当にラッキーだったよ。なければ落とし穴なんて見え見えなトラップに頼らなきゃいけなかった。流石にそいつはお前も露骨すぎて警戒するだろうから、沼に嵌まってもらったよ」
「まさか貴様が『流』の呪法を利用して大気中の水分を集め、その地面を沼に変貌させるとは思いもしなかったぞ……トレック。唯でさえ『流』の使い手は戦闘を苦手とするものが多いのに、貴様はどれだけの引き出しを持っているのだ?」
「さてね……それより、トドメを刺そうか。ギルティーネさん、ドレッド、手伝ってくれ」
自分の頭上にあったペトロ・カンテラを近くまで呼び寄せて手を掲げると、カンテラ内の炎が導かれるように目の前で大きな炎の塊になってゆく。遅れて近づいてきたギルティーネとドレッドも同じようにカンテラから炎を得て、3人同時に沼でもがく哀れな上位種へ呪法をぶつけた。
「逃げる事も許されず、惨めな姿で荼毘に付すんだな……『灼熱の絨毯(フエゴ・アルフォンブラ)』」
『ロ゛ア゛アアアアアッ!?ル゛ウ゛、ル゛……ウ゛オ゛オオオオオオオオオオッ!?!?』
3人同時に放たれた炎は鎧の隙間から一斉に内側の呪獣を蝕み、トレックが人生で初めて遭遇した「上位種」の呪獣は哀れな悲鳴を上げながら死ぬまで呪炎に焼き尽くされた。
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