暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第三十四話
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
……いや、ギルド《COLORS》のみんなには、ソードスキルを使えないという旨の俺の事情は説明済みだ。
それほど彼ら彼女らのことは十二分に信用しており、今回もアリシャの脱出出来る作戦とやらを信じて、彼女の手をとった。

「飛べぇ!」

 アリシャが俺の手と繋がっていない方の手につかんでいたのは、少し太い糸……いわゆる、鋼糸と呼ばれるものに近いものだった。
それを引っ張ると……なんと俺たちは大地から足を離し、大空へ飛び立った。

 数え切れない程の数を誇る狼型モンスターも、所詮は狼でしかないために、空は飛べずに大地を駆けるしかない。
だが俺たちは飛翔し、狼たちの牙の届かないところへ飛んでいった。

 そのカラクリは……

「……鳥?」

 アリシャが糸の先に捕らえているのは、崖の中腹を巣穴にしている大型の鳥型モンスターである《ヴァーユ》。
非アクティブモンスターのようで、便乗して一緒に飛ばせてもらっている俺たちを一瞥しても、攻撃してくる様子はない。

「このまま崖の上まで飛ぶわよ!」

 アリシャの指示を聞いているというわけでも無いだろうが、《ヴァーユ》は甲高い鳴き声で一声いななくと一層スピードを上げ、俺たちを崖の上へと導いた。

「……よっと。ありがとねー!」

 ヴァーユと繋がった糸を手から離し、俺とアリシャは崖へと降りたった。

そして飛んでいくヴァーユに手を振って、アリシャは感謝の言葉を叫んでいた……モンスター相手に何言ってんだか、とは思うが、アリシャがやると何故だか絵になって似合う。

「よくもまあ、こんな方法考えついたもんだな」

「ふふふ、鍛え上げた《裁縫》スキルのなせる技よ。……だけど問題は……」

 得意げな顔で俺の疑問に微妙にズレた答えを返してくれるが、すぐさま表情が少し暗くなる。
……ああ、多分俺もお前が考えてる問題と同じこと考えてるさ。

「「どうやって降りるんだ(かしら)……」




 仕方がないので、俺たちが崖から脱出するために使った手段は、使うことで指定した街に移動することが出来る《転移結晶》だった。
値段が張るので、あまり使いたくはなかったのだが……あの崖を自力で降りるよりはマシだ。

 囮をやってくれていたヘルマンたちは、今は近くの宿屋をとってくれていることだろう。
……ギルド《COLORS》は本部という物はなく、色々な層を転々とする為に、近くの宿屋に泊まってそこが一日限りの本部になるのだ。

 話題が逸れたな。
俺たちが来たのは第二十六層《イリーガル》。
そこに出来た、新しい攻略ギルド《血盟騎士団》の仮設本部だった。

 《血盟騎士団》とは、初のユニークスキル使いとも言うべきプレイヤー、《ヒースクリフ》によって集められた新たなギ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ