第三十四話
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……いや、ギルド《COLORS》のみんなには、ソードスキルを使えないという旨の俺の事情は説明済みだ。
それほど彼ら彼女らのことは十二分に信用しており、今回もアリシャの脱出出来る作戦とやらを信じて、彼女の手をとった。
「飛べぇ!」
アリシャが俺の手と繋がっていない方の手につかんでいたのは、少し太い糸……いわゆる、鋼糸と呼ばれるものに近いものだった。
それを引っ張ると……なんと俺たちは大地から足を離し、大空へ飛び立った。
数え切れない程の数を誇る狼型モンスターも、所詮は狼でしかないために、空は飛べずに大地を駆けるしかない。
だが俺たちは飛翔し、狼たちの牙の届かないところへ飛んでいった。
そのカラクリは……
「……鳥?」
アリシャが糸の先に捕らえているのは、崖の中腹を巣穴にしている大型の鳥型モンスターである《ヴァーユ》。
非アクティブモンスターのようで、便乗して一緒に飛ばせてもらっている俺たちを一瞥しても、攻撃してくる様子はない。
「このまま崖の上まで飛ぶわよ!」
アリシャの指示を聞いているというわけでも無いだろうが、《ヴァーユ》は甲高い鳴き声で一声いななくと一層スピードを上げ、俺たちを崖の上へと導いた。
「……よっと。ありがとねー!」
ヴァーユと繋がった糸を手から離し、俺とアリシャは崖へと降りたった。
そして飛んでいくヴァーユに手を振って、アリシャは感謝の言葉を叫んでいた……モンスター相手に何言ってんだか、とは思うが、アリシャがやると何故だか絵になって似合う。
「よくもまあ、こんな方法考えついたもんだな」
「ふふふ、鍛え上げた《裁縫》スキルのなせる技よ。……だけど問題は……」
得意げな顔で俺の疑問に微妙にズレた答えを返してくれるが、すぐさま表情が少し暗くなる。
……ああ、多分俺もお前が考えてる問題と同じこと考えてるさ。
「「どうやって降りるんだ(かしら)……」
仕方がないので、俺たちが崖から脱出するために使った手段は、使うことで指定した街に移動することが出来る《転移結晶》だった。
値段が張るので、あまり使いたくはなかったのだが……あの崖を自力で降りるよりはマシだ。
囮をやってくれていたヘルマンたちは、今は近くの宿屋をとってくれていることだろう。
……ギルド《COLORS》は本部という物はなく、色々な層を転々とする為に、近くの宿屋に泊まってそこが一日限りの本部になるのだ。
話題が逸れたな。
俺たちが来たのは第二十六層《イリーガル》。
そこに出来た、新しい攻略ギルド《血盟騎士団》の仮設本部だった。
《血盟騎士団》とは、初のユニークスキル使いとも言うべきプレイヤー、《ヒースクリフ》によって集められた新たなギ
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