第3話、日常
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
日付の変わる頃、俺はミュンツァー伯爵邸からブラウンシュヴァイク公爵邸に帰館した。
すぐに執務室で若い副官から報告書を受け取って読み始める。社交以外の仕事は基本的に朝に済ませてしまうのだが、報告書だけは朝、昼、晩と送られてくる。
本当に重要な事なら側近の誰かか副官の誰が注意喚起しにくるから、中身も大したことないのだろうと流し読みする。
それから最新鋭のタンクベッドに二時間ほど入る。目覚めたところでようやく自由時間だ。
最新のゲームをやったり、歌番組やドラマを見たりしてストレスを発散する。
そして、四時半頃。今度は寝室の布団の上で寝た気分だけでも味わおうと寝室に向かう。
幸い奥様とは別の寝室だ。まあ彼女と同じ寝室ならブラウンシュヴァイク邸に寄り付かない。
そして、寝室のふかふかのベッドの上で美味しいモーニングカフェオレをすすり、俺は門閥貴族の裏話を集めた新聞形式の報告書を読む。
朝の報告書の中で一番好きな報告書だ。
もともと俺は転生前の朝には政治家の汚職やマスコミのねつ造記事、大企業の不正行為を伝えたり、芸能人のスキャンダルを暴く週刊誌を読んでいた。
銀河帝国に門閥貴族を糾弾したり、国営テレビに出演するプリマドンナと貴族のスキャンダルを報道する週刊誌がないと知り、ショックを受けたものだ。
もっともその代用品はすぐに見つかった。諜報部の報告書の一部内容が貴族のスキャンダルと気づくと、俺は出来るかぎりゴシップ記事形式の報告書に切り替えるよう、シュトライト准将麾下の諜報部に命じた。
箇条書きでは苦痛にしかならない貴族の醜聞も、不思議と持ち前の野次馬根性が働き記憶に焼き付く。
そんなわけで発行者がブラウンシュヴァイク家の諜報部門で、総発行部数が予備を含めて五部という、何とも贅沢な報告書が数日前に創刊したのである。
生きるために必要な情報収集さ、と俺はうそぶきながら楽しく拝見している。
さて朝の報告書を全て読み終えると、ベッド脇に有る数百年前の巨匠作の机に置き、俺は備え付けの鈴を鳴らしてベッドを出た。
すぐに老齢の家宰(首席執事長)グライデル男爵と若い執事、メイド長の美熟女が挨拶しながら入室してくる。
若い執事の手には中世貴族風の服がある。
彼らと挨拶して立っていると、シルクの寝巻きから素早く着替えさせてくれる。
他人に着替えさせて貰うことに慣れないか、まるで着せ替え人形になった気分になる。
だが、転生直後に自分で着替えたら、血相を変えた顔をした家宰の爺さんに、ネチネチと小言を聞かされてから我慢している。
着替え終えると俺は一度部屋を出て、廊下に待機していた赤い服の護衛兵達と挨拶交わしながら別の部屋に移動する。
そして、まるで神殿のような造りの白亜のバルコニーに出る。
端に立って
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ