第3話、日常
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いる武装した護衛兵四人にも軽く手を上げて挨拶を済まし、色とりどりの花で溢れるバロック庭園と敷地内の森林を利用した風景式庭園を同時に楽しむ。
時刻はだいたい午前六時頃。朝日を浴び、鳥の囀りを聞きながらラジオ体操を一人で黙々とこなした。これも俺の新しい日課だ。
再び邸宅というより城館と呼んだ方がしっくりくる自宅の中に戻り、館の主人やその家族用の食堂へ向かった。
ここでいつも早い朝食を取っている。この時間だとブラウンシュヴァイク公の妻と娘と滅多に会わない。先週一緒に朝食を取ったのは一回きりだ。
正直、彼女とどう接していいのかも分からない。もちろん奥様は皇帝の娘であり粗略に扱えない。なるべく自然に遠くに居ることが理想だ。
君子危うきに近寄らずとかいうやつである。
ちなみにに今日の朝ご飯は昨日頼んでおいたライスに、牛ステーキと焼き鮭と和風サラダ、味噌汁である。
ここのステーキは一度噛むだけでとけるような肉を使っていて、これがまたうまい。 それから、鮭も米も味噌も野菜すら最高級らしいが、普段食べていたものとそこまで違いは無い。と思う。
これでも私生活ではなるべくブラウンシュヴァイク公オットーの路線を引き継ぎたいと思っていたのだが、食事だけはという気持ちであっさりと洋食から和食メインに切り替えた。
まあ仕方ない。俺にだって食事の好みはある。たぶんステーキがあるのでそこまで嗜好が変化しているとは思われないだろう。
「カーソン」
俺は朝食時間に必ず近くに控えている次席執事長に声をかけた。カーソンという名の四十五才の執事は家宰と共に政治にも役立つ貴重な側近である。
「なんでしょうか? 公爵閣下」
「料理人にうまかったと伝えてくれ。それから、明日も同じメニューで頼む」
「承知しました。本日は昼ご飯をこちらで取る予定になっていますがいかがなさいますか?」
「天ぷら蕎麦と寿司にしよう」
俺は食事を三十分ほどで済ますと、ようやく執務室に向かった。今度は若い執事がやってきた。
「公爵閣下。ご注文の品はご指示通り視聴室に運び込んでおります」
ブラウンシュヴァイク公オットーになりきるため、俺は一週間ほど私的活動を自重したが、昨日から帝国成立以前の様々な古典的なゲームやアニメ、映画などの大人買いに走った。それが続々と届いているらしい。今晩から徹夜で楽しむつもりだ。
ちょっとブラウンシュヴァイク公路線から脱線したかもしれないが単に絵画鑑賞の趣味からアニメ鑑賞に変わっただけだ。
これも仕方ない。俺にだって個人的な趣味はある。死ぬ可能性が高いならせめて好きな物食って好きに遊びたい。
「ご苦労であった。それで例のアイドルグループのコンサートの方はどうなった」
「芸能事務所は旦那様のご都合の良い日に、最優先で邸宅を訪れたいと申してお
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