四話 それぞれの生き方
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返し、二人で軽口を応酬し始めた。その間気の抜けた表情でぽかんとしていたリコだったがやがて、うるんでいた瞳の端に涙を滲ませながらもくすくすと、心からの笑みを顔に浮かべていた。
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「さってと、明日はどうすっかな〜」
「トール次第だな。狩りに出るにしてもあいつがいないと効率が違う、朝になってからでも決めればいいさ」
リコをホームまで送った帰り、シュウとアルバは街路脇にある休憩所のようなスペースで塀にもたれかかりながらくつろいでいた。ここが非現実の世界であることを忘れさせるほどリアルな夜風の感覚に二人が身を晒しながら明日の予定を話している最中、不意にアルバが話題を変える。
「そういやさっきのは少し意外だったな」
「意外?……何がだ」
「リコちゃんに話しただろ、SAOをお前が楽しんでるって」
その言葉にシュウは「ああ」と、感情の薄い表情で相槌をうつ。
「トールとはタイプ違うけどお前もたいがい真面目型だろ?楽しむとかそういうのはうわついてるとか言う方かと思ってたぜ」
「真面目か、あまりそういう自覚はないんだが」
「違いないと思うぜ?でなきゃ、あんな真剣な答え方しねえよ。適当に当たり障り無いこと言って逃げるなり慰めるなりするさ」
どこか楽しげにしながらそう言い切ったアルバを不服そうに見返しながらも言い返す言葉を見つけることが出来なかったのか、シュウは諦めたように溜め息を吐き片手で頭を抱える。
「気にしてもいなかったからなあんなこと、いきなり謝られたところで返す言葉が無い。だから思ったことを言っただけだ」
視線を合わせずそう口にしたシュウをアルバはにやにやとした笑みを顔に貼り付けて眺めていた。普段はもっぱらいじられる側であるはずの少年のそんな表情が気に食わなかったらしく、シュウは対照的な仏頂面になる。
「でも実際、楽しいんだよなこの世界」
先刻も見下ろした異国風の夜景を改めて眺めながら感慨深そうに呟くアルバ。
「ああ、それには同意するよ」
少年が呟いたように、バーチャル・リアリティがもたらしたソードアート・オンラインという名のこの世界は日本という平和な国で当たり前の現実を生きる人々にとって抗いがたい魅力を持っていた。誰もが幼い頃頭の中で思い描いたようなファンタジーの世界、デスゲームと化した今だからこそ忌まわしきものとして皆が呪っているがそうでなければ、もしかするならば命懸けのゲームであったとしてもこの世界で生きたいと願う人間もいるかもしれない。
「ハハッ、あのコミュニティに参加してるやつは攻略熱心なやつばっかりだからさ、しかもシ
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