6.お別れをしに来たんじゃない
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焼き肉ですか。流石に気分が高揚します」
というクールビューティー加賀さんにあるまじき発言を受けて、鈴谷たち三人も交えての大焼き肉パーティーになった。僕の隣に座っている鈴谷は、僕が焼く肉を僕よりも早く片っ端から自分の口にほおり込んでいく。
「……おい鈴谷」
「なにー? ひょいぱくひょいぱく」
「なんで僕が焼いた肉を片っ端から食べていくんだよ」
「焼けたから。もぐもぐ」
「自分で焼けよ! これは僕が食べるために焼いてるの!」
「ぇえ〜?! 鈴谷のために焼いてくれてるんじゃないの?!」
「当たり前だ!」
「いいじゃん一枚ぐらい。ひょいぱくひょいぱく」
「一枚どころか全部食ってるじゃんか!! おかげでぼくはまだ肉食ってないんだぞ!!」
そして、同じ被害に遭っている人物がもう一人いる。コンロを挟んで僕の向かいには瑞鶴さん。そしてその隣には加賀さんがいるのだが……
「ちょっと一航戦! なんで私が焼いてる肉をひょいひょい奪っていくのよ!」
「あなたが食べるのが遅いのよ。ひょいぱくひょいぱく」
「自分が焼いたの食べればいいでしょ! なんで自分で焼かないのよ!!」
「代わりに私が焼いたピーマンを上げるわ。あなたにぴったりでしょ」
「あー確かに私の艤装と髪の色って緑だしねー……って張り倒すわよアンタ!」
「お肉が美味しいとビールも進むわね。ぐびっぐびっぐびっ」
「やっぱり一航戦ムカつく!」
とこんな感じで、瑞鶴さんが焼いた肉を加賀さんは片っ端から口に運んでいた。おかげで瑞鶴さんは肉にまったくありつけていない。
「ははは……みんなよく食べるなぁ……ははは……」
「ホントね〜。かあちゃんも気持ちいいよ〜」
「ははは……ホントよく食べるなみんな……」
父ちゃん母ちゃんは凄まじい勢いで肉を食べ尽くしていくぼくたちの……というより加賀さんと鈴谷の食欲に圧倒されているのか、まったく箸が進まず冷や汗をかいていた。
「瑞鶴さん」
「ん? どうしたの?」
「はい肉。全然食べてないでしょ?」
「え? いいの? ありがと!!」
「五航戦。その肉も一航戦の私によこしなさい。ひょいぱくひょいぱく」
「アンタは充分食べてるでしょ!!」
「あー! その肉鈴谷の肉なのに!!」
「お前も肉をそろそろ自重しなさいッ!! つーか僕が焼いた肉だッ!!」
しかしあれだね。加賀さんと瑞鶴さん……表面上は来た時と変わらないけど、今はさっきまでと違うね。なんというか……ここに来た時は単にお互い素直じゃなかったんだなーって思える。今はお互いが素直になってる感じだ。今のこの焼き肉戦争も、仲がいいからこそお互い本音を言い合ってる感じがして、仲の良さがこれでもかと伝わってくる。
「その通りよ五航戦。私はあなたを認めてい
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