第二十一話 そして交渉は始まる
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嫌でも緊張するようである。
こうして島田達は案内されて、ビルの五階にある会議室に案内された。ドアをノックして、そして会議室の中に入る。
「遠路遥々お疲れ様です。さあ、座ってください。」
丁寧な口調で話すのが、アカツキ帝国の最高責任者である前田健太郎である。そして前田健太郎の隣に座っているのは日本国より来た本位首相である。
(これが、帝国を壊滅寸前まで追い込んだ頂点に君臨する存在!)
ピニャは特に前田健太郎に対して丁寧な口調で喋っているが威圧感を感じて、心臓が止まりそうなくらいに緊張していた。見た目こそ隣に座る本位とは年齢的に若い指導者であるのだが、その風格は前皇帝のモルトと比べ物にならず、現皇帝のゾルザルなど足元にも及ばないとピニャは判断した。そして、ピニャはアルヌス基地にて、アカツキ帝国の兵士達は上から下まで立場に関係なく慕われていた理由を理解した。
これ程の風格を纏い、絶対の自信に満ち溢れて引っ張ってくれる存在に敬意を払うのは当然だと思ったからだ。
(帝国は何もかも負けている……)
最高指導者と出会い、初めてピニャは帝国は化け物の国家と愚かな戦端を開いてしまったと肌で理解したのだった。
「閣下。こちらがファルマート大陸より来られた方々です」
「ロウリィ・マーキュリーよ。死と断罪の神エムロイの使徒よぉ」
「ハイエルフのテュカ・ルカ・マルソーです。」
「私は、レレイ・ラ・レレーナ」
「ブルーム王国第四王女のアナです」
「帝国第三皇女のピニャ・コ・ラーダと申します。こちらに居ますのは私の側近です。」
緊張はしていてもやはり、このようなに各国の指導者や重鎮達と出会う機会も多いピニャは、何とか平常心を保ち噛むこともなく平然とした口調で喋る事に成功したが、内心では心臓はバクバクしているが、そんな内情を表情に出さない所は、流石は皇女といった所だろう。
こうして会議は始まった。アカツキ帝国の要求に関しては既に先陣として交渉している帝国講和派の人間に言ってあるが、それでもピニャに対して伝える。先ずは譲れない要求としては亜人の奴隷解放。そもそもアカツキ帝国が帝国に対する宣戦布告内容であるため、講和するならばこの条件は譲れないと主張した。だが、これに関しても難しい問題を出したと頭を抱えるピニャであった。
そもそも帝国は人間至上主義を掲げている国家であるため、その根底を覆す講和内容を直ぐに飲めるわけもないからだ。それでも、現状のゾルザル支配の帝国が続けばアカツキ帝国と日本という規格外染みた国家に帝国が消滅させられる未来しか想像できないので、そのためピニャは既に帝国の常識が通用しない価値観と武力を持っている国家相手に帝国式交渉術を行えば、二日前にアナに言われた消滅は確実である
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