第43話
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した後、椅子に座って休憩している眼鏡の医師―――ヨアヒムに近づいた。
「やあ、ロイド君。それにレン君だったかな。記念祭中はどうも。おかげで中々楽しかったよ。」
「ふふ、先生も相変わらずですね。」
「その、すみません。アポイント無しに押しかけてしまって………」
「いやいや、ちょうど仕事が一区切り付いた所だったからね。それで、記憶喪失の子を預かったそうだけど………その子が?」
先程までヨアヒムに対して何か思う所がある様子を見せていたレンだったがそんな様子は一切見せずにいつものように”仕事の際の口調”――――自分の関係者ではない年上の人物達に対する言葉遣いでヨアヒムに微笑みながら答え、ロイドに謝られたヨアヒムは苦笑した後、真剣な表情でキーアを見つめて尋ねた。
「はい………キーアといいます。」
「ねえねえ、ロイド。このメガネのおじさんがキオクを戻してくれるのー?」
「オ、オジサン!?……はは、これでも若作りなつもりだったが………やっぱりオジサンだよなぁ。」
キーアに”オジサン”呼ばわりされたヨアヒムはショックを受けた後溜息を吐いた。
「い、いや、先生はお若いですよ。」
(うふふ、キーア?こういう時はお世辞でもお兄さんと呼んだ方がいいわよ。)
(そうなのー?)
ショックを受けているヨアヒムの様子を見たロイドはフォローし、レンはキーアに小声でささやき
「いや、そういうフォローは余計に切なくなるんだけど………まあいい、とりあえず、こちらの方に座ってくれたまえ。詳しい事情と経緯を聞かせてもらおうじゃないか。」
レンの小声のささやきが聞こえていたヨアヒムは溜息を吐いた後、気を取り直して近くにある椅子に座るように促した。その後ロイド達はヨアヒムに事情を説明した。
「………なるほど。大体の状況は理解したよ。ふむ、七耀教会の法術でも取り戻せない記憶か………となると、そのシスターの指摘通り神経系の問題である可能性は高いな。」
「………そうですか。何とか回復する手段はあるものなんでしょうか?」
「正直、脳神経や脳細胞の研究はまだまだ始まったばかりでね。記憶喪失になる原因はそれこそ無数にあり得るから対処療法が存在しないんだよ。ただまあ………」
ロイドに説明したヨアヒムは医療用ルーペを取り出した。
「―――キーア君。僕の目を見てくれるかい?」
「いいよー………じー………」
そしてヨアヒムは医療用ルーペをキーアの目に向けてじっと見つめた。
「ふむ………瞳孔に異常ナシ。ここ数日、頭痛がしたり、吐き気がしたりしたことは?」
「ズツウ?ハキケ?」
「頭が痛かったり、気持ち悪かったりってことさ。」
ヨアヒムの質問に首を傾げてい
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