第38話
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「エリィはさ、完璧すぎるんだよ。全て自分が、一度も失敗しないでやり遂げる必要がある……そんな風に思っているんじゃないか?」
「そ……そんな事は………」
「……確かに今日は色々とヘコまされることが多かった。でも、そんなのは働いていれば当たり前の事なんだ。そして……今日乗り越えられなかった”壁”は明日には乗り越えられるかもしれない。」
「”壁”………」
「この場合の”壁”ってのは脅迫状の事件のことだ。一課が出張った所をルファ姉が抑えたこの事件……できればここからはルファ姉の助けなしに動いてみたい。」
(あら………)
「ええっ……!?で、でもルファディエルさんの助けなしで私達が出来る事なんて………」
ロイドの提案を聞いたルファディエルは声を上げた後興味深そうな表情をし、エリィは驚いた後不安そうな表情になった。
「ルファ姉は確かに凄いけど………それでもわからない事もある。ひょっとしたら俺達が別の切り口を調べて行く事で、事件を解決できるかもしれない。そんな気がしてきたんだ。」
「ロイド………」
「そう、さっきエリィが言った話に似ているだろ?これでもし、俺達が大金星を上げることが出来れば……エリィが目指そうとしている事だって決して不可能じゃないか?」
「…………………………」
ロイドに語りかけられたエリィは呆けた表情をし
「もちろん、今回の事件とクロスベル全体の大きな問題は一緒にはできないかもしれない。でも………俺達に必要なのは”壁”を乗り越えるための力だ。こういった小さな”壁”を一つずつ乗り越えていければ………いずれ巨大な”壁”を乗り越えられる力だって手に入れられるんじゃないか?」
「…………………………―――この2ヵ月、一緒にいて何となくわかった。貴方もまた私と違った悩みを抱えている。それなのに……どうしてそんなに前向きでいられるの?」
複雑そうな表情で考え込んだ後、ロイドに尋ねた。
「……俺はそうだな……目指している人達がいるから前に進めているのかもしれない。それはそれで……問題なのかもしれないけれど。」
「そう……でも私は……貴方ほど強くないみたい。少し……疲れちゃった………」
「…………………………」
「……本当は昔のことなんて、話すつもりはなかったの……でも………何だか耐えきれなくなってしまって………このままじゃ、本当にあなたたちの足を引っ張るかもしれない……だったら、いっそ……もう……」
エリィがロイドから視線を逸らして、外の景色を見ながら弱音を吐いたその時
「―――エリィ。」
静かな笑みを浮かべたロイドが片手をエリィの肩に置いた。
「……あ………」
(おっ!?なんだか面白そうな予感!
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