機動戦艦ナデシコ
1371話
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木連との……いや、正確には草壁からの謝罪があってから数日。
現在、未だに向こう側からの返答は何もない。
いや、あの会談の場にいた者としてもちょっと吹っ掛け過ぎたんじゃないかという思いはしているので、それは別におかしくも何ともないのだが。
チューリップは木連の中でも最重要な存在だ。そもそも、チューリップがなければ転移じゃなくて、わざわざ木星から地球まで移動しなきゃいけない。
その上、以前であれば火星に前線基地を作る事が出来たかもしれないが、今は火星は俺達シャドウミラーが占拠している。
その時点で、火星を抜くのは不可能だと言ってもいいだろう。
地球に残っているチューリップだって、そのうち全て撃破されるのは間違いないだろうし。
ナデシコだけでもどうにかなりそうな上に、俺達との関係が悪くなったらどうしようもなくなってしまう。
つまり、向こうはどうあってもこっちと関係を修復しなければいけない訳だ。
「アクセル君、ちょっと顔が意地悪いわよ?」
そう言ってきたのは、美砂。
どこか呆れたような……それでいて少し面白そうな表情を浮かべて俺の方へと視線を向けている。
「まあ、今は色々とあるからな。……向こうはちっとも動きがないし」
美砂からの視線をスルーし、視線を運動場の方へと向けるが……生憎と言うべきか、やはりと言うべきか、そこでは未だに睨み合いが行われていた。
その睨み合いを行っているのは、木連側からは高杉が、そしてシャドウミラー側からは円た。
しかも円は例によって例の如く、純炎の涙を使用している。
つまり、その姿もいつものようにアラブの踊り子が着るような紫色のシースルーの薄衣を身につけている訳で……ただでさえ女慣れしていない木連の高杉が、今の円を目の前にして何ら動く事が出来ずにいる。
いや、それどころかろくに円を見る事すら出来ていない。
それは高杉だけではなく、この運動場に集まっている他の木連の兵士達も同様だ。
集まってきている誰もが円の姿に一瞬目を向けるも、すぐに視線を逸らすといった行為を繰り返していた。
「うーむ……高杉の奴め。純粋な腕では俺達の中でも上位に入るというのに、あのままでは実力の殆どを発揮出来んな」
苦々しげに呟くのは、秋山。
木連の人間としては、珍しく円から視線を剃らすような真似をしていない。
……頬が赤くなっているのは明らかだから、別に何も感じてないって訳じゃないんだろうが。
「上位に入るのか?」
「うむ。恐らく奴に勝てる者は、木連の中でも殆どいないだろう。それだけの力を持っている。持ってはいるのだが……な」
視線を逸らした高杉を見ながら、溜息を吐く秋山。
円も、このままだと殆ど意味がないと理解したのだろう。待ちの状態から
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