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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第4話『重なるイレギュラー』
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種の魔族。影の巨人、大斧持ちだ。見覚えは−−」
『ある。魔界に乗り込んだ時に城付近におったのう、そこら一帯じゃあ軟弱にも程があったが』
『彼女』の軟弱は常人にとっては全く軟弱では無いとツッコミたくなったが、変に話をこじらせたく無いので黙っておく。本人の異常性は兎も角として情報は確実なのだ。聞き漏らすまい。
−−その魔界の城付近にしか住まない筈の魔族が、何故こんな森に突如現れたのか。
「……見解を聞こうか」
『まあ順当に考えればその死徒関連じゃろうな。その死徒に原因があるか、それともその死徒と遭遇して殺気立った人間共に原因があるかは知らぬが、その死徒が直接的にしろ間接的にしろ関わっている事は間違いない。警戒しておけ』
「了解」
それだけ聞き、有無を言わさず切る。余計な小言は聞きたく無いので早々に接続を遮断し、再度ポーチに仕舞い込む。それぞれ半顔と困惑の色を孕んだ目で見つめてくる二人分の視線を背に受けつつも、先程の突風でかなり落ちた枯葉の一枚を摘み上げる。指でその表面をなぞり、魔力を介してルーンを刻む。
「『ギューフ』」
優しさの意味を持つルーンは枯葉を中心に魔力を拡大し、周囲のマナを瞬時に作り変えていく。が、障気を見逃さない探知の魔術は、しかし森全域にその効果を及ぼしても、目の前の白銀の少女以外には不発に終わる。
ルーンの光は失われ、やがて枯葉は朽ち、風に吹かれ大地へと還る。……メイリアの目が更に細まり、ついに限界とばかりにその口が開かれた。
「……何してるの?」
「仕事」
ルーン文字は使用者にしか見えない為、側から見ればただの変人ではあるのだが気にしてはいけない。即答しておく。
それにしても何の痕跡も無いとはまた奇妙な話だ。魔族が発生する際はその場所に大きな魔力の痕跡が残るものなのだが、その痕跡が一切無い。勿論昨日森に入る際に探索した時も、この少女以外に反応などなかった。
再度探索の必要性も考慮しつつ、死徒の少女に向き直る。ついでに辺りの景色を見渡し−−
「取り敢えず、どっか落ち着けるところに行こうか」
さっきの魔術のせいで、燃えてはいないものの焦げ臭い周辺から脱出する様、提案したのだった。
◇ ◇ ◇
場所は移り、ジークが少女に贈ったキャンプ場。
ジークが持ってきたお握りをベッドに座って幸せそうに頬張る少女を、手頃な岩に腰掛けたジークが眺める。同じくメイリアもジークから渡されたソレを口に含み、意外そうに目を丸めた。
「あ、意外と美味しいのね。ジークって料理しないイメージだったんだけど」
「訓練時代に飯ぐらい自分で作れる様になれって言われて、朝と昼は自分で作らないと飯抜きになるんだよ。晩飯が唯一の楽しみだ
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