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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第4話『重なるイレギュラー』
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横に移す。
そこにはやはり見間違いなどではなく、自らの手を開閉させて、斧を受け止めた跡を眺める死徒の少女が居た。
そしてその手に一切の傷跡は無く、むしろ主を失い、地面に転がる大斧の刃は欠けていた。それどころか、木を削って作られたのだろう取っ手は半分ほど折れかかっている。
成る程、これならば騎士団が苦戦するのも納得だ。今の勢いであの質量の大斧を叩き付けられて、傷一つ無いどころかビクともしないなど、明らかに硬すぎる。人間の力でどうこうできる防御力では無い。
彼女が真正面から敵に回れば、負ける事な無くとも、ジークでは勝つ事は出来ないだろう。
まあ、兎に角言うべき事はある。
「ありがとな。お陰で間に合った」
笑みを浮かべて礼を言うと、銀髪の少女も微笑んで応える。
包帯に隠された右眼とは逆の真っ赤な左眼が細められ、満足そうに笑った。
「……ぉ、……ぁぃ……ぇ」
『どういたしまして』、と。
掠れ切った声は聞こえなかったが、彼女がそう伝えたがっていたのはハッキリと分かった。
……ふと。
「……メイリー?どうした?」
「……ねぇジーク。ジークが言ってた死徒って」
メイリアが困惑したような表情を浮かべてジークに問う。まあこればっかりはジークも戸惑った事なので、慣れてもらうより他ない。
ジークもまた、困ったような表情で返す。
「あぁ、この子だよ。例の、特殊なケースの死徒」
「……私、これまで人類の外敵ってしつこく教えられてきたその『敵』に命を救われたんだけど、この場合どういう反応すればいい?」
「普通にお礼言えば良いんじゃないか?」
「私に魔族の恐ろしさを昔話に交えて叩き込んでくれたお母さんのあの必死な顔を思い出すと、とっても複雑な気分なんだけど」
メイリアが頭を押さえて呻き、少女がそのメイリアの様子に困惑したように、ジークとメイリアを交互に見る。ジークが苦笑いで答えにならない顔で答え、少女は更に困惑する。
最終的には何か不安を感じたらしく、少女はメイリアから身を隠すようにジークの背に隠れた。
「……ま、取り敢えずは。だ」
ジークが自らのポーチを漁り、一つの鉱石を取り出す。
それはかつてジークが連絡のために使用した遠信機。その石に再び魔力を通し、遥か彼方に居る『彼女』に連絡を入れる。空気の震えは魔力に変換され、遠信機の片割れへと向かって翔ぶ。彼女と話をするのは気がひけるのだが、こういう事となると一番知識を持っているのは彼女なので、我慢するしか無いだろう。
やがて多少の雑音と共に、接続完了を示す魔法陣が点滅した。
「……聞こえるか?」
『──応、ジークか。どうした、指令は伝えたじゃろう』
「もう一丁異常発生だ。新
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