sts 26 「砕け始める今」
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ている。スバルと何度か格闘戦をしたことがあるが、今までにこんなことはなかった。
つまり……魔導師としてのスバルの能力じゃなく《戦闘機人》としてのスバルの能力か。
ノーヴェへのダメージや今の軽い接触だけで体の内部を破壊するあたり、おそらくスバルの能力は振動系の類だろう。触れなければ威力を発揮しないものではあるが、直撃すれば人間だけでなく戦闘機人ですら一撃で葬りかねない能力だ。マッハキャリバーにも影響が出るあたり、自分自身にも幾分か反動を受けていそうなので諸刃の剣でもあるのだろうが。
「敵を前にして背中を向けるとは迂闊だな!」
大量のナイフがスバルに対して投擲される。ひとつひとつが爆発物であり、またスバルに防御の意思がないことを考えると迎撃しないわけにはいかない。だがこの行動は必然的にスバルの援護に繋がるため、自分に敵意を向けた戦闘機人にスバルは殺す勢いで襲い掛かる。
「ギン姉を返せぇぇッ!」
「ぐっ……」
「う……ああぁぁぁぁッ」
敵の防御魔法を振動を交えた拳とゼロ距離射撃で強引に粉砕し吹き飛ばす。
軽く触れただけでもバリアジャケットを抜けて骨を砕く威力があるだけに、直接触れられていない戦闘機人にも内部ダメージはあるらしく、立ち上がることができないようだ。
しかし、スバルのマッハキャリバーにも限界が来ている。これ以上負荷を掛ければ機能停止……最悪大破して修復が不可能になりかねない。
スバルを止めるにはスバルの意識を刈り取るしかない。意識を刈り取れればマッハキャリバーは今以上にダメージを受けることも防げる。だがそれは必然的に敵に隙を見せることに繋がる……立ち上がれないとはいえ攻撃手段はあるはずだ。
「行かせ……るか!」
「だから……邪魔するな!」
敵が倒れたままだったならばスバルもギンガのあとを追っていたかもしれないのに、敵が大量のナイフを出現させてしまった。そのためスバルは敵を仕留めようと最後の一撃を放つ準備に入ってしまう。
――くそっ!
このまま放置すればスバルが敵を殺すか、もしくはスバルが爆発に飲み込まれる。下手をすれば命を落としかねない。前者はスバルが冷静さを取り戻したときのことを考えると避けたい未来であり、後者もスバルの周囲にとって喜ばしくない未来だ。
故に俺が取った行動はスバルを爆発から防ぎながらも彼女の意識を刈り取るというもの。
防御魔法を周囲に展開しながらスバルの前に立ち、妨害しようとする俺を排除しようと攻撃を繰り出してきた彼女に俺はカウンターで一撃を放つ。
それと並行して周囲には爆発が巻き起こり、その煙が晴れた時には俺の視界には幾分か爆発でダメージを受けてしまった自分のバリアジャケットと横たわったスバルの姿が映った。
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