sts 26 「砕け始める今」
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今のスバルはリミッターでも外れているのか、一瞬の均衡のあとノーヴェを蹴り飛ばした。敵の装備を破損させる威力を以て……。
「ノーヴェ、ウェンディ、あれは姉が抑える。お前たちはここから離脱しろ」
「了解っス」
「でもチンク姉が……」
「案ずるなノーヴェ、姉ならば触れずに戦える!」
眼帯を付けた戦闘機人が複数のナイフを投擲すると、それらはスバルの周囲で急に爆発した。ナイフ自体は特別なものに見えなかっただけにおそらくあの戦闘機人の能力なのだろう。
〔マスターどうするの? このままじゃギンガちゃんがさらわれちゃうよ!〕
〔分かってる……だが〕
今のスバルは正気を失っている。ただギンガを取り戻そうと……いや、ギンガを連れて逃げようとしているウェンディ達に向かって行こうとしないあたり、今スバルにあるのは目の前の敵を破壊するという意思だけだ。
どうする……。
ギンガを助けに行けば1対2で戦うことになりはするが、ノーヴェはさっきのスバルの一撃でダメージを受けている。リミッターが掛かったままの今の状態でも十分にギンガを救いだせるだろう。
だがギンガを救いに行くということはスバルを放置することになる。先ほどからスバルは防御魔法を使う気配がない。しかも相手は……最悪殺すつもりで攻撃をしてくるだろう。また先ほどのスバルの攻撃を見る限り、人を粉砕してしまってもおかしくない威力があったように思える。
これに加えて、マッハキャリバーにもダメージが見て取れる。マッハキャリバーが機能停止すれば、それはつまり完全に防御という選択肢が消えるということだ。そうなればスバルが命を落とす確率は爆発的に高まってしまう。それだけに正気を欠いた今のスバルを放置するのはかなり危険だ。
「……スバルを止める」
ギンガを見捨てることになってしまうが、少なくともギンガは生きた状態で捕らえられているはずだ。ならばまだ今後取り返すチャンスはある。しかし、ここでスバルを放置して命を落としてしまうような事態になればどうすることもできないのだから。
「スバル、落ち着け!」
「放せ……放せ……邪魔をするなぁぁぁぁッ!」
「――ッ!?」
こちらを振り返ったスバルと視線が交差する。俺の視界に映ったのはノーヴェやウェンディと同じ黄金に輝く瞳。そこにあるのは殺意に等しい破壊衝動のみ。
それに突き動かされるようにスバルは俺にリボルバーナックルを装着した拳を突き出してくる。反射的に魔力を纏わせた左腕で軌道を逸らす。が……攻撃を逸らした直後、左腕の肘から先の骨が砕けるような感覚に襲われた。
〔マスター!?〕
「大丈夫だ……動けないわけじゃない」
とはいえ、痛みからしてほぼ確実に左腕の肘から先は折れ
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