五十五話:蘇り
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ス中将! なぜここに!?」
「ふん、お前達が腑抜けないように檄を飛ばしに来ただけだ」
ゼストに続くように現れたレジアスに今度は度肝を抜かれる。中将という立場になればおいそれと前線に現れるような真似をしてはならない。指揮官が死んでしまえば元も子もないからだ。
もちろん、アレキサンダー大王のような例外もあるのだがレジアスの場合はさらにあり得ない。何故ならば彼には魔法が扱えない。そして質量兵器も海が許可を出さなかったために彼は丸腰だ。要は無防備なのだ。それは彼自身が十二分に理解していることである。
「あんな建物などまた建てればよい。つべこべ言わずに戦わんか!」
「し、しかし……」
「馬鹿者が! 陸が守ってきたものは建物などではない! ―――陸に住む人だッ!!」
レジアスの怒鳴り声に全員がハッと息をのむ。なぜ、自分達が海と馴れ合うことなく独立を貫こうとしてきたのか。それは陸を守ってきた誇りがあったからだ。犯罪の検挙率などを競ってきたのではない。ただ、そこに住む人々が平和に暮らしている。その当たり前の光景を守っているのだという意識こそが彼らの真の誇りであった。物を守りたいのではない。人を守りたかったのだ。
「分かったのなら早く配置につけ! 市民には指一本触れさせるなッ!」
『はっ!』
全員の瞳から迷いと恐れが消える。彼らは誰もがなのは達のようなエリートではない。だが、それでも、地上を守るという意志だけは彼女達にも一切劣らない。レジアスというカリスマのある司令塔を得た彼らは水を得た魚のようにガジェットに立ち向かっていく。その様子を見つめながらゼストは一旦下がりレジアスに話しかける。
「流石の貫禄だな。やはりお前は上に立つべくして立った人間だ」
「ふん、ただ若造共を叱りつけてやっているにすぎん」
「そうか……しかし、スカリエッティはどうする? 地上部隊を向けようにも防衛線を崩せばガジェットが市民を傷つけかねないぞ」
「このまま耐えさせる。まったく……泥棒にでも入られた気分だ」
地上本部の地下にはレジアスですら知らぬ間にスカリエッティの研究スペースがあった。最高評議会が用意したものであるが、スカリエッティはそこに隠れ潜み、敢えてガジェットを外から攻めさせることで陸士部隊を外に追い出した。
そして空になったところでまんまと占拠したのだ。そうすることでガジェットを食い止める防衛線は管理局を食い止める防衛線へと変わり、内部にて守っていた市民は彼の人質へと早変わりだ。辛辣な罠にかかったことを悔しがりながらもレジアスには打つ手はあった。
「だが、儂らが食い止めている間にあの気に食わん小娘達が来るだろう。そもそも、あれは自分が自由に動けるようにするために前線に救援に行ってくれなどと抜か
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