第四話 新王の即位その五
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「新教であろうとも旧教であろうとも」
「信仰に関わらず」
「守るべきです」
「彼等を圧することはですね」
「なりません」
絶対にという言葉だった。
「それは」
「私もそう思います」
マリアもここでマリーに続いてだ、王に言うのだった。
「旧教徒は確かに国教の者ではありませんが」
「圧することをしてはならない」
「害することもです」
それもというのだ。
「なりません」
「では」
「はい、異端審問も」
それもというのだ。
「遠ざけるべきです」
「王よ、異端審問よりも」
セーラもマリー、マリアと共に話した。
「王ご自身で、です」
「断を下す」
「そうされて下さい」
「王、ここはです」
王の横、摂政として玉座に座る彼の左横に立ったうえでだ。大公は王に穏やかな声をかけた。
「王ご自身がです」
「断を下すべきか」
「左様かと」
「叔父上もそう言われるのなら」
王は摂政である叔父の言葉も受けてだった。
そしてだ、こう言ったのだった。
「私が」
「そうされて下さい」
「旧教徒は異端審問には渡さない」
王は彼の断を下した、マリー達の言葉を受けて。
「彼等を害する、圧することもしない」
「それでは」
「その様にしていく」
新教を国境としたうえでというのだ。
「彼等の信仰はこのままだ」
「御意」
マリー達三人は王の前に跪いて応えた、そして。
大公もだ、王の横っで厳かに言った。
「さすれば」
「その様にな」
「では、それで次ですが」
「灌漑だな」
「はい、都の近辺の河だけでなく」
「国のだな」
「全体として考えていきましょう」
その灌漑をというのだ。
「堤を設けそして」
「用水路もだな」
「整えましょう」
「うむ、そうしたことをしてこそな」
王は確かな顔と声で言った。
「民は安らかになる」
「では」
「灌漑はこれまで以上に進める」
王はこのことにも断を下した。
「すぐに予算と人を回すのだ」
「農閑期にですね」
「民に働いてもらおう」
こうしたこともだ、王は政治として進めていった。大公とマリー達の助けを借りてだ。王はマイラにも声をかけるが。
どうしてもだ、マイラはマリー達とは違いだ。王は大公と二人だけになった時にマイラについてこんな言葉を漏らした。
「マイラ姉様は生真面目ですが」
「生真面目に過ぎる」
「そう思います」
甥としてだ、王は叔父である大公に言った。
「どうしても」
「はい、あの方はです」
「生真面目に過ぎて」
「その政治でのお考えも」
「硬いですな」
「私はそう思いますが」
こう大公に言うのだった。
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