決意する天竜
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第三者side
「か・・・勝った・・・」
地面に大の字になり倒れているノーラン。それを見下ろしているシリル。その様子を見て、彼の相棒であるエクシードのセシリーは、涙を流しそう呟いた。
「俺の負けだ・・・殺せ・・・」
敗北したノーランは、起き上がることなくそう言う。しかし、シリルはそんな彼に背を向けた。
「俺は殺さないよ。俺がそんなことをするのを、ウェンディもみんなも、誰も望まないから」
そう言った少年は、ふらつきながらラクサスやカミューニ、そしてセシリーの待つところに歩いていこうとする。
「あ、でも薬はもらうから」
だが、彼はすぐにノーランがラクサスたちを治せる薬を持っていたことを思い出し、彼のポケットからそれを奪い取ると、一度息をついてから仲間たちの元へと戻ってくる。
「シリル〜!!お疲れ〜!!」
「あぁ、ありがとう」
翼を出してこちらに向かってくるシリルに飛び付くセシリー。シリルは大喜びの彼女を受け止めると、突然その場に膝をつき、崩れて落ちる。
「ムギャ!!」
前のめりに少年が倒れたことで、彼に飛び付き、腕に抱えられていたセシリーは下敷きにされ苦しそうに手足をバタバタさせている。
「か・・・カミューニくん助けて〜!!」
「何やってんだか・・・」
自分よりも何倍も身長があるシリルに潰され助けを請うセシリーに、カミューニは呆れながら手を伸ばし、彼女を救出する。
「シリル〜、どうしたの〜?」
助けられたセシリーはすぐさまシリルの体を揺すり彼の状態を確かめている。なかなか動かない少年を見て、彼女は顔を覗き込む。すると・・・
「スゥ・・・スゥ・・・」
「寝てるし〜!!」
静かに瞳を閉じて、寝息を立てている顔が目に入り、ずっこけていた。
「まぁ頑張ったしなぁ。仕方ねぇだろ」
カミューニはそう言うと、シリルの体を持ち上げ背中に乗せる。その後彼は、うつ伏せになっているラクサスに肩を貸すと、その場から離れていこうとする。
「おい、殺さないのか?」
「あぁ。そうだな」
目線だけを立ち去ろうとする男たちに向け、ノーランがそう言うと、カミューニは平静な表情でそう答えた。
「シリルが殺さないって言うんなら、今回はそれに従っておくよ。俺がやるべきことをやったのは、こいつなんだからな」
彼の背中に重なり、目を開けることなく深い眠りについているシリル。自分が本来やらなければいけないことを彼にさせてしまったと思っているカミューニは、少年の考えを尊重し、ノーランに手を下すのをやめているとのことだった。
「あばよノーラン。次は同じことしたら、そん時はぶっ殺してやるからよ」
カミューニはそう言い残すと、負傷したラクサス
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