第1話 高揚
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所々に赤い点があるのが見える。敵ってことか?
で、また離れたところに青い点が見える。これは味方か?あるいは、俺に敵意が無い存在。
しかし、意外と範囲が広い。もっと狭いと思ったが、半径300mくらいはカバー出来ている。嬉しい誤算だ。
さて、確認はこれくらいでいいだろ。まずは、あの青い点に接触してみるか。完全に味方という保証もないが、次はこの世界の詳しい情報が欲しい。
幸いなことに、見える赤い点は俺が近付くと逃げている。小動物系だったということだろうか。
すぐに戦闘なことにならずにホッとしていると、目標の青い点の周辺に赤い点が集まり始めていた。数は5。
ヤバい感じ?ヤバいな。急ごう。
俺は危険を察知し走り始めると、森を抜け街道に出た。
「くそっ!こんな時に!」
視線の先には、大きな荷物を背負った男性の姿が見えた。熊みてぇだ。その熊っぽいおっちゃんを襲っている、狼。
剣で対応しているが、やはり数が多い。助太刀しますか。さすがに、見殺しにするほどヒドイ人間ではない。
そこまで考え、俺はあることを失念していたことを思い出す。どうやって魔法使うんだ?
事前に試さなかった自分の迂闊さを呪いつつ、頭を切り替える。
とりあえず、敵に掌を向けて名前を言ってみる。
「『ダークフレイム』」
その瞬間、俺の掌から真っ黒の炎が飛び出すと狼の身体をあっという間に包み込み灰にしてしまった。
オゥ、マジかよ……。
「兄ちゃん、避けろ!」
魔法の威力に驚いていると、オジサンの言葉に敵に意識を戻した瞬間、敵と認識した俺に向かって狼が飛びかかってきていた。
スキルの影響だろう。頭の中は真っ白になりつつも、身体は自然と動いていた。俺は身体を時計回りに回転させると、右足の踵を狼の首に当てながら地面へと叩きつけた。
周囲に響き渡る、骨が折れる音。
オゥ、マジかよ……。
「ヒュウ!やるじゃねぇか、兄ちゃん!」
いや、それほどでも。スキルのお陰っす。
俺が謙遜している間に、おっちゃんも剣で狼の首を切断して殺していた。狼の首の切断面から噴き出した鮮血が、周囲を真っ赤に染める。……クジラみたいだ。
だが、俺はその光景に嫌悪感を感じなかった。むしろ、血が滾ってくる。
自然と笑みを浮かべながら、俺は血が噴き出るその光景を眺めていた。
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