第1話 高揚
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界ということか?」
「簡単に言えばそうなる」
その言葉に、俺は死ぬ前に考えていたことを思い出す。
誰かに必要とされ、自分の知らない体験をすれば、この心の空虚さは埋まるのではないかと。
「歳の割にそんな達観した考えをする若者を、そのままあちらに送るわけにはいかん」
「……」
「異世界に行き、新たな考えに触れ、新たな人間に触れ、新たな環境に触れるといい。さすれば、その心の空虚も埋まるやもしれん」
じいさんの言葉に、俺は黙り込んでしまった。
確かに、今までいた世界とは違う世界に行けば、何かが変わるかもしれない。
もしかしたら、この伽藍堂な心も埋まるかもしれない。
だが、1つの問題が決心を鈍らせる。
「どうした?」
「問題がある」
「問題?」
「めんどくさい」
生まれる沈黙。
じいさんは深い、それは非常に深い溜め息を吐いた。
俺は大真面目なんだがな。
「余計悪い。もういいや。行って来い」
「はっ?」
「達者でな」
じいさんのその言葉を最後に、俺の意識はブラックアウトした。
肌寒さで俺は目が覚めた。
目を開けてみると、青空が広がっていた。身体を起こして周囲を確認すると、辺りは森だった。
だが、俺が寝ている場所は拓けた場所で、近くには湖もある。結構大きい湖だ。琵琶湖もこんな感じなんだろうか。
そんなことより、自分の状況確認だ。ちゃんと身体もある。女になっちちゃった、みたいなことも無さそうだ。
服は何というか、昔の服だな。前世にあったような服じゃない。この世界の技術レベルは分からないが、恐らく時代相応なんだろう。
『無事に到着したな』
…ビックリした。
突然頭の中に声が響くと、あのじいさんの声だった。
『必要なことだけ言うぞい。ワシも忙しいのでな』
まずは話を聞かないとな。この世界のことも分からないし。
『その世界は魔法あり、モンスターありのファンタジーの世界だ』
俺、死んだ。
絶対無理じゃん。生き残れるわけないじゃん。数分以内に死ぬ自信があるわ。
『最後まで聞けぃ。そこで、ワシからサービスだ』
男の、しかもじいさんからのサービス。
…ちょっと寒気が。
『……』
続きをどうぞ。
『サービスの内容じゃが、秘密だ。まあ、チートということだけは教えてやる。じゃあな』
……おい。
何だ、俺が心の底でキショイって思った腹いせか?
器のちっさい神だな。
じいさんの声も聞こえなくなったし、ここからは俺自身の力で生き抜く必要があるな。あのじいさんが助けてくれることは無いだろう。
とりあえずは、自分の実力というかパラメータみたいなの
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