4.明日ちゃんと笑うために
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いいんだけど、桶は相当重いようで、五月雨ちゃんは上下左右にふらふらとしている……
「大丈夫か五月雨ちゃんッ!」
「だい……じょう……」
「五月雨ッ! あたいも手伝うぜ!!」
「すず……かぜちゃん……は……そこでッ……」
「鈴谷! 手伝ってやれ!!」
「いいよー。五月雨ちゃん今行くからちょっと待って……」
世の中には、考えうる最悪のアクシデントの連鎖というものがある。
「……だい……」
「さみだれちゃぁぁあああああん!!!」
たとえば僕が口内炎に苦しんでいる日……うちのかあちゃんは狙いすましたかのように、あさりの殻付きピリ辛炒めを作ってれる。味は美味しいんだけどピリピリした辛味が僕の口内炎を攻撃して、僕はその日夕食を食べることが苦痛になる。しかもその日のあさりには必ず小石のように大きくてガラスのように鋭い砂の粒がたくさん入っていて、それがまた口内炎を刺激して痛い痛い……今日の五月雨ちゃんは、まさにそんな感じだ。考えうる最悪のアクシデントの連鎖が、今発生する。
「ふあっ……」
「さみだれぇぇええええ?!」
「かずゆきぃいいいいい?!!」
五月雨ちゃんは、あるはずのない床の出っ張りに足を取られ桶のそうめんをぶちまけた。ぶちまけられたそうめんは……あるはずのない引力に従って、ぼくの方へと飛んできて……
「か……和之さん……」
四人分のそうめんは、僕の頭にすべてかかってしまった。おかげで僕はびしょ濡れで、しかも濡れた純白のかつらを頭からかぶってる感じになった。
「ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃかずゆきチョー受ける!!」
「カズユキが!!! あひゃひゃひゃ!!!」
「笑うなおまえらッ! 人の一生懸命を笑うなッ!!」
「和之さんごめんなさい! ホントにごめんなさい!!」
「……いいんだよ。こういう時は逆に考えるから。『熱いにゅうめんじゃなくてよかった。火傷しなくてよかった』って考えるから」
「ヒー……くるし……おなかいたい……息できない……かひゅー……かひゅー……」
「鈴谷のねーちゃん……あたいも苦し……かひゅーかひゅー……」
「お前らあとで三時間正座で説教だ」
「「ひどっ」」
「ごめんなさい! ホントにごめんなさいッ!!」
「いいの。五月雨ちゃんはいいのよ」
そう言って真剣に何度も頭を下げる五月雨ちゃんをたしなめていると、タイミングよく僕の頭の上のそうめんのひとかたまりがぽとっと落ちた。
「ほんと……ごめ……ぶふっ……」
「?」
「和之さんは……やっぱりひこざえもん提督の孫ですね」
「なんで?」
「提督はいつも、私のドジを優しくフォローしてくれてました。和之さんと同じこと言って、いつも私を慰めてくれてました」
「んん? 同じこと?」
「はい。提督のパソ
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