4.明日ちゃんと笑うために
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たときの二人の目はちょっと赤くなっていたけど、来る時よりもかなりスッキリした顔をしているように見えた。
「ありがとうございました和之さん! おかげで、ちゃんとお別れが出来ました!」
「よかった。スッキリした?」
「はい! 本当にありがとうございました!!」
「ホント、ちゃんと挨拶できたのはカズユキのおかげだぜ! ありがとうカズユキ!!」
「んーん。二人も、うちの爺様に挨拶してくれてありがとう。仲良くしてくれてありがとう」
特に五月雨ちゃんは、来た時と比べて見違えるように明るくなっていた。確かに爺様の死を受け止めるには彼女の身体は小さすぎるし、彼女にとって重すぎる事実だったけれど、それでも彼女は受け止めた。受け止めて受け入れたんだ。五月雨ちゃんの目にはもう迷いや怯え、不安のようなものは見られなかった。悲しみを乗り越えて、前に進もうという意思だけが宿っていた。
「かずゆきぃ。お腹すいたからお昼ごはん作って。そうめんでいいよ」
「感動的な場面に水を指すなよ鈴谷」
そしてその場面に気の抜けた一言で水を差す鈴谷。そんな鈴谷の暴言を受けて、今日は四人でお昼ごはんとしてそうめんを食べることになった。イマイチ納得がいかなかったが、三人が来るまで僕もそうめんを食べる気マンマンだったからちょうどよかったのかもしれない。
「私もお手伝いします! 茹でるのはお任せくださいっ!」
僕がいそいそと鍋を火にかけて準備をしていると、五月雨ちゃんがお手伝いを買って出てくれた。ぼくはそうめんを茹でるのを五月雨ちゃんに任せ、テーブルでそうめんの完成を待つ鈴谷と涼風ちゃんの元へと箸とめんつゆを運ぶことにした。どこぞの女子高生と違って五月雨ちゃんは天使だなぁ……。
「それ、鈴谷のこと?」
「他に誰がいるんだよ?」
「カズユキ、あたいちょっとわかったぜ!」
「ん? 何が?」
「鈴谷のねーちゃんとカズユキ。ケンカしてるけどすんげー仲良いんだな!」
何勘違いしちゃってるのこの子? 僕は涼風ちゃんの……いやあえて呼び捨てにしよう。涼風のニカッと眩しいその口を両手でムニッと挟み込んでやった。
「んぐッ?!」
「くだらないことをのたまいやがるのは……この口かッ……!」
「何……しやがんだ……かずゆきッ……!」
「訂正しろッ! 僕と鈴谷が……仲いいだなんて……訂正しろッ……!!」
「てやんでぃ……! 一度口に出したことは……言い直さねえぞあたいはッ……!!」
「へー……仲いいんだ鈴谷たち。ニヤニヤ」
「お前も意味深なニヤニヤをするのはやめろ」
「みなさん……! そうめんが……茹で上がり……まし……!」
そうやってぼくが涼風を責め立てていると、五月雨ちゃんが4人分のそうめんが入った桶を持ってきた。……持ってきたのは
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