4.明日ちゃんと笑うために
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けていた。
『言ってあげて』
わかってる。こんなに小さな二人に、無理してガマンして笑顔でいさせるなんて、爺様は望んでない。たとえどれだけムカつく爺様であったとしても、僕は孫だ。それぐらいは手に取るように分かる。
「ふたりとも」
「「?」」
「泣いていいんだよ。今日は思いっきり泣いて、明日笑顔になろ」
「でも……ひこざえもん提督が……ひぐっ……心配……」
「“女の子は笑顔が一番”って……いっつもあたいたち言われて……ひぐっ」
「そうだよ。女の子は笑顔が一番だよ。だから……明日からは本当に笑顔になれるように、今日は思いっきり泣こ」
「「……」」
「僕と鈴谷は席を外すから。ほら出るぞ鈴谷」
「ぉおっ?」
僕は鈴谷の手を取り、そそくさと和室から出た。五月雨ちゃんと涼風ちゃんは呆然と僕らの背中を見送っていた。そして僕が襖を静かに閉じた瞬間……
『うわぁぁあああああああん!!!』
という叫び声というか、二人の泣き声が聞こえた。
「……やっぱりガマンしてたんだね」
「だね。かずゆきに言われて、泣いてもいいんだって分かって、決壊しちゃったんだね」
『あたいたちを置いていくなよぉぉおおおおお!!!』
『戻ってきてくださいいぃぃいいいいいい!!!』
『またあたいたちと遊んでくれよぉぉおおおお!!!』
『もう提督のパソコンにお茶かけちゃったりしませんからぁあああああ!!!』
『返事してくれよていとくぅぅううううううう!!』
『提督のお腹にパンチ突き刺しちゃったりしませんからッ! 勢い余って提督のパンツ破いちゃったりしませんからぁぁああああ!!!』
『『うわぁぁあああああん!!!』』
うん。いろいろと聞き捨てならないセリフを聞いた気がするけれど、二人とも気持ちをちゃんと発散できてるようで何よりだ。これでいい。悲しい気持ちをガマンしちゃいけない。ガマンしたらくすぶり続ける。悲しい気持ちは、ちゃんと発散するのがいいんだ。そして、次の日から笑顔になればいいんだよ。
「ところでさーかずゆきぃ」
この感動的な場面に立ち会っているというのに、鈴谷はそんなシーンに似つかわしくないニヤニヤを僕に向けてきていた。
「ん? なんだよ」
「いや別にいいんだけど……いつまで鈴谷の手を握ってるの?」
鈴谷にそう言われ、僕は自然と自分の右手を見た。僕の右手と鈴谷の左手は、しっかりとつながっていた。
「うおッ?! すまん鈴谷ッ!」
「なになに鈴谷と手を繋ぎたかったの? 言ってくれればよかったのにー素直じゃないなぁかずゆきは〜」
「たわけがッ!」
「かずゆきぃーどうするぅ?」
「うるさいわッ!」
その後は五月雨ちゃんと涼風ちゃんが落ち着くまで和室にいてもらった。部屋から出てき
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