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英雄伝説〜光と闇の軌跡〜(零篇)
第28話(1章終了)
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から思わず銃を抜いちまったが………気にした様子もなく、そこに寝そべりやがるからどうにも手を出しづらくてなぁ。」

セルゲイの話を聞いたティオとセティは狼に近づいた。



「あなた、どうしたの……?なんでこんな場所に……」

「もしかしてまだ私達にしてほしい事があるのですか?」

「グルルル……ウォン。グルルルル…………」

「あ………」

「フフ、そうですか。」

狼の意思を感じ取ったティオは声を上げ、セティは微笑んだ。

「……ティオ、セティ。彼は何と言っているんだ?」

「……えっと。『自分の名前は”ツァイト”』『我々への濡れ衣を晴らしたこと、ご苦労だった。』」

「『部下たちの代表として礼を言う』―――そう言っています。」

ロイドに尋ねられたティオは答え、セティが続けた。

「”ツァイト”……」

「お、お礼を言いにきたの……」

「そ、それはともかくやっぱり偉そうなヤツだな………」

(なんかサエラブを見ているみたいに感じるんだけど……)

(フフ、確かにそうね。)

狼――――ツァイトの意思を知ったロイドは口元に笑みを浮かべ、エリィは戸惑い、ランディは苦笑し、クレールは不思議そうな表情でツァイトを見つめ、クレアンヌは微笑みながらクレールの言葉に頷いた。

「グルルルルル……グルルルルル……グルルル……ウォン。」

「え……!?」

「まあ………!」

「ど、どうしたんだ?」

「その……『だが、お前達は若くどうにも頼りない』……」

「『肝心な所は自分達ではなく、異種族任せなのは情けない』………『仕方ないからしばらく、自分も力を貸してやろう。』」

「『気が向いた時に助けてやる』」

「なっ!?」

「えええっ!?」

「オイオイオイオイ!」

ティオとセティからツァイトの意思を伝えられたロイド、エリィ、ランディは驚き

「フフ、心強い仲間が増えましたね。」

「うんうん!」

エリナは微笑み、シャマーラは嬉しそうな様子で頷いた。



「ウルゥ……グルルル……ウォン。」

「『心配はいらない』『群れは部下に任せたから安心するがいい』」

「いや、そんなことを心配してるんじゃなくて!」

そしてティオの言葉にロイドが突っ込んだその時、ツァイトはあくびをした後、地面に寝そべって眠りはじめた。

「クク、伝説の”神狼”か……妙なものに見込まれたもんだな?どんどん支援課が人外魔境化してきたじゃねえか。」

「課長………」

「というか、ルファディエルさん達がいるのですから、支援課の人外魔境化なんて今更ですし。(”影の国”のメンバーを考えれば、こんなの大した事ないです……………)」


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