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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第3話『不穏な陽炎』
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でああいうクソ真面目に限ってああなのか」

「すまないね、ジーク君。私がもう少ししっかり出来れば良いんだが……」

「いいんだよ、汚れ仕事なんて傭兵稼業やってりゃいくらでもやる事になる。寧ろ貴族共の自分勝手をここまで押し留めてるんだ。誇っていいんじゃないか?」

 町長は苦笑して頭を掻き、小さく「人をまとめる仕事など、向いていないんだがねぇ」と呟くとごそごそとポーチから小さな袋を取り出す。その袋は中に何かが大量に詰め込まれているようで、大きく膨れ上がっていた。

「報酬の200万ヴェリオだ、受け取ってくれ」

「……確かに、頂戴した。任務完了だ」

 袋の中に詰め込まれたヴェリオ聖金貨を魔力を通して数え、しっかりと揃っているかを確認し、そのまま袋をポーチに仕舞い込む。これで暫くは多少の物資には困らないだろう。労働に見合わない働きしかしていない気もするが、これで街も目的を果たせるのだ。その投資金としては多くはない額なのか。

 −−まあ、仕事はまだ残っているが。

「……君は、引き続きあの死徒の監視があるのかね?」

「ああ、面倒な事に例外を見つけたら、その生態と討伐方を観察するのが俺ら(リ・メイカー)の使命だ。引き続き接触は続ける」

 まあ、あの様子だと観察というより交流になってしまいそうだが、警戒されないという点ではいつもよりはやりやすい。労力も移動分程度だ、疲れの内にも入らない。
 多少の懸念としては、ノーレッジ卿が乱心して手出しに来るくらいか。一応警戒はしておかねばなるまい。

「……んじゃ、そろそろ失礼する。大変だろうけど、頑張ってくれよ町長」

「ああ、お互いね」

 軽く会釈し、会議室を出る。町長曰く『無駄に長い疲れるだけの廊下』を通って玄関をくぐり、数時間ぶりに外の日差しを浴びる。死徒の少女と出会って一日が経過したが、特に変わったこともない、強いて言えば彼女の下に通わねばならなくなった程度だが──

「ジィィィィィイィィィィィィィィクッ!!!」

「げはぁっ!?」

 咄嗟に振り向いたジークが一瞬だけ捉えたのは、黄金の軌跡。
 美しい金髪が風に靡き、紅い視線がジークの黒い瞳と交錯する。
 次の瞬間には視界は暗黒に染まり、ジークの顔面にそれは見事な飛び膝蹴りが決まっていた−−

「って何すんだメイリーっ!」

「うるさいっ!聞いたわよジーク、昨日魔族退治に行ったんでしょ!?なんで呼ばなかったのよ!」

「魔族退治に魔法が使えるとはいえ一般人を連れて行くかっ!しかもお前まだ魔法が制御出来てないだろうがっ!」

 頬を膨らませてジークの胸倉を掴む金色の少女は、ジークの反論に小さく呻き、目を逸らす。
 ジークにメイリーと呼ばれた彼女、メイリア・スーは、ジークがこ
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