外伝
外伝《絶剣の弟子》F
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回す。ユウキさんの体は実際に触ってみると外見よりさらに細く、脆そうだ。
力はあまり要らなかった。その体は驚くほど軽く、とても同年代の女の子とは思えなかった。
「ありがと!」
「……いえ、これくらいなら」
儚げな様子でもその笑顔は愛らしく、また心臓がキュッと締め付けられるような感覚に襲われた。
しばらくするとエギルさんが水を持って来てくれ、それで乾いた喉を潤す。冷たい水が火照った喉を通り、潤していくのを感じて初めて、自分がかなり緊張していることを自覚した。
「……ちょっと前までね、もう治らないって言われてた病気で。ずっと入院してたんだ」
「…………」
沈黙を破ったのはユウキさんのそんな唐突な告白だった。その衝撃的な内容に、俺は咄嗟に答えを返すことが出来なかった。
「そんなボクでもVRゲームでは遊べた。スリーピング・ナイツのメンバーにはそこで会って……色んな世界を旅したんだよ」
それからユウキさんの独白は渡り歩いた世界の話になった。《ザ・シード》を用いたVR世界は今や数千以上に昇ると言われる。ユウキさんたちが渡り歩いたのはそのごく一部なのだろうが、その1つ1つはとても魅力的な話で徐々に、相槌を打てるようになった。そんな話の端々で語られるのは新たな仲間たちと、去って行った仲間たち。
ユウキさんには双子のお姉さんが居た。頼れる先輩が居た。ムードメーカーだった大切な仲間が居た。その3人は、何時しか話からフェードアウトして行った。何故居なくなってしまったのかは何となく分かった。ユウキさんも、他のスリーピング・ナイツのメンバーも恐らく、同じような境遇なのだろう。
そして、次に行き着いたのは《アルヴヘイム・オンライン》。浮遊城アインクラッドのボスモンスターを1パーティーで倒す為にユウキさんたちは7人目の仲間を探した。そこで出会ったのがアスナさんだった。
アスナさんが加入し、スリーピング・ナイツがフロアボスに挑む準備が整った。1度目は様子見に徹し、1度撤退した後で再度フロアボスの部屋へと向かった。
しかし大規模ギルドがその行く手を阻み、7対多数の勝ち目の無い戦闘が始まろうとしたその時ーーー
「ずっと会いたかった人が来てくれたんだ」
ユウキさんのその表情は、今まで見たことのないものだった。そして、優しい、儚い、嬉しい、寂しい……色々な思いが混じった、形容し難い表情だった。
その人はユウキさんたちの前に立ちはだかった大ギルドのメンバーを次々と薙ぎ払い、その行く手を拓いてみせた。
「名前だけはもう何回も聞いてるかもしれないけど、その人がレイって言われてる人だよ」
「……予想通り、というかやっぱりユウキさんの仲間ですね、その人」
「え?」
「前から思ってたんですけど、ユウキさんの知り合
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