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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
外伝
外伝《絶剣の弟子》F
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「そうか。俺はエギル。俺もALOプレイヤーだ。よろしくな」

 店主、エギルさんはそう言って凄みのある笑みを浮かべる。正直怖い。

「こんにちは、エギルさん」
「こんにちはー」
「おう。アスナとユウキちゃん…………ん?あいつらはどうした?」
「キリト君は後で来ますよ。レイ君は、まだ動けなくて」
「……ったく」

 当然というか、親しい知り合いであるらしい3人は気さくに挨拶を交わす。キリトという人は昨日、オラトリオの本部で会ったスプリガンの男性のことで、アスナさんの恋人だという。しかしレイという人は今まで名前を聞いたことのない人だった。
 まあどうせこの人たちの仲間ということは平然と無茶苦茶やってのける人なのだろうが。

「他のみんなはまだ来てないんですか?」
「そうだな。……って言っても例のごとく急に言われたもんだからまだ準備が終わってねぇ……あまり早く来られても困る」
「あはは。毎回すみません。お手伝いします」
「わりぃな」
「あ、じゃあ俺も……」
「大丈夫だよ。ライト君はユウキと待ってて」
「は、はい」

 確かに勝手が分からないのに行っても邪魔になるだけだ。対してアスナさんは慣れた様子でバックヤードからエプロンを持って来くる辺りたまにこういうことがあるのかもしれない。

「じゃあちょっと向こうで話そっか」
「そうですね」

 奥の方の席へユウキさんの車椅子を押して行き到着。そこでハタと止まった。
 机と椅子の脚は高く、机は車椅子のユウキさんの頭の上にある。辺りに脚の低い机は無く、場所を替えても変わらない。

「ごめんね、ライト。悪いんだけど、座らせてくれる?」
「え……と……ど、どうやって……」
「へ?普通に、こう抱えてくれればいいんだけど」

 ユウキさんのぎこちないジェスチャーから察するに、その動作は所謂お姫様抱っこというやつだ。

「い、良いんですか?」
「うん?なにが?」
「いえ、俺が……そんなことして」
「だって、ライトしか居ないし」
「そ……そうですね」

 ALOで時折、ユウキさんに手を引っ張られたり頭を撫でられたりするだけでドキドキしてしまうのに、自分から触りに行く上にそんなお姫様抱っこみたいな体が密着するような行動をするなんて、俺にとってはソロで昨日のボスモンスターを倒しに行くのと同レベルで難易度が高い。つまり、無理ゲー。

(……いやいや、落ち着け。ユウキさんが恥ずかしがっていないのに俺が恥ずかしがったらおかしい。これは決してハラスメント行為では無いし、双方にそんなつもりは無い。ただ、ハンデを負っている人の介助をするだけ。それだけだ)

「……じゃあ行きますよ」
「うん」

 意を決してユウキさんの側面に回り、肩の少し下と膝の裏に腕を
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