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外伝
外伝《絶剣の弟子》F
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た。







 それから1時間半後。すっかり身支度を整えた俺は家を出ると駅に向かって歩き出した。目的地は御徒町にある、Dicey cafeという喫茶店だ。うちからは1時間もあれば着きそうな感じだったので比較的まだ余裕があると言える。
 今日、俺はALOで会った人たちとオフで会うことになっていた。
 経緯はごく単純で昨日、解散間際にカイトさんとユウキさんが急遽決定し、俺も参加することになった。
『ゲームで遊べないならリアルで遊べば良いじゃない』
 所謂、オフ会というものには俺は何度か行ったことがある。2Dゲーム時代のとあるイベントで、大ギルドのオフ会に知り合いが参加していたという関係で紛れ込ませて貰った、といった経緯のが数回あるのだ。それはそれで楽しかったのだが、どこか疎外感というか、一歩後ろに引いた場所にいた。部外者である為に当たり前と言えば当たり前なのだが。
 そんな訳で俺は少し、いや、かなり緊張していた。緊張は中々解れずにあっという間に御徒町に着いてしまう。ぼうっとしていた割には乗り違えなどしなかったのは僥倖と言える。

「……ここ、だよな?」

 ちょっと入りにくい裏路地をおっかなびっくり進んで行くと《Dicey cafe》と書かれた扉。そして『本日貸切』と札が掛けられていた。

(入りにくい……)

 場所は合っているはずだ。事前に調べた外観でも、地図アプリでも誤差は無い。
 扉の前は人通りの少ない場所だからともかく、表通りなら間違いなく不審者認定されそうな挙動を繰り返す。

「ライト?」

 思考が、停止した。聞き慣れた声とは少し違ったものの、その声は何故か脳裏を強く刺激した。反射的に声のした方に体を向けようとするが、認識は世界がスローモーションになったようにゆっくりと動いていった。
 声の主の目線は銀色の車椅子に腰掛けているせいか、かなり低かった。黒地のTシャツに薄紫色のパーカーを羽織り、白いロングスカートを履いた膝の上に紙袋を乗せ、それを手で抱えている。肩あたりまであるだろう黒髪を赤色のゴムでまとめ、体の前に垂らしていた。体の線は全体的に細く儚げな印象を受けるが、強い光を持つ瞳から伝わる雰囲気はALOでよく知る彼女のものだ。

「えっと、ユウキさん。ですか?」
「うん!初めまして。こんにちは、ライト」
「こ、こんにちは」

 歳は同じくらいだろうか。ユウキさんはニコッと笑うと手を差し出して来た。
 あまりにテンパっていた為にそれが握手だと分かるまでたっぷり3秒程有したが、ユウキさんは笑顔で待っていてくれた。ぎこちなく握手を終え、顔を上げるとクスクスと可笑しそうに笑っている人物が目に入った。
 何時からそこに、と思ったが考えてみればユウキさんは車椅子なのだから誰か介助者が
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