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忘れ形見の孫娘たち
3.爺様のスイカ
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とう……私に、ひこざえもん提督とお別れする機会をくれて……ぐすっ……本当にありがとうございます」

 その後爺様との思い出話をいくつか僕に語ってくれた後、大淀さんと鈴谷は自分たちの施設……鎮守府だっけ。そこに帰っていった。帰り際に、

「私以外にも提督にお別れを言いたい子はたくさんいます。もしよかったら、その子たちにもお別れを言う機会をください」

 とお願いされ、僕は快諾した。確かに、彼女たちがどこから来て、あの傍若無人な爺様とどんな関係だったのかは未だにわからない。でも、大淀さんのあの姿を見る限り、爺様との関係は本物のようだ。爺様を慕う人たちが多いのも事実なようだし、彼女たち自身も別に悪い子たちではなさそうだし。だったら僕らに断る理由はない。

『今日は本当にありかとう! 大淀さん、こっちに戻ってから元気になったよ!』

 夜に鈴谷からLINEでメッセージが届いた。大淀さんが元気になって何よりだ。なんでも『ひこざえもん提督に顔向け出来るように、鎮守府運営がんばらなきゃ!!』とはりきって仕事に励んでいるらしい。今回の爺様とのお別れがいい機会になったようでなによりた。

『でさ! 今晩こそオールナイトで出撃しない?』
『しないよ。明日もこっち来るんだろ? だったら早く寝なさい』
『ぇえー! 鈴谷マジ退屈なんですけどー?』

 何を考えとるんだあいつは……徹夜仕事の辛さを知らないんだな……若いってのは恐ろしいねぇ……

『それはそうと、明日は二人連れて行くから』

 ほう。二人とな。

『今日連れてった大淀さんと一緒に、ずっとひこざえもん提督と一緒にいた五月雨ちゃんと、その五月雨ちゃんの妹の涼風ちゃん』

 うん。なんつーかもう名前で分かるね。その子たちもきっとコスプレ大好きっ子なんだろうね。爺様、コスプレイヤーと一体どういうつながりで知り合ったのか、僕がそっちに行った時にじっくり話を聞かせてくれますか?

『まぁそんなわけで明日もよろしくね!』

 鈴谷とのLINEを適当に終わらせた後、麦茶が飲みたくて居間まで来た。なんか妙なものを踏んだ気がして、スリッパの裏を覗き込む。黒いツブが付着していた。

「鈴谷のアホ……フリだと思ってたら一個だけスイカの種ホントに発射してたのか……女子高生じゃなくて五歳児じゃんかアイツ……」

――ぴーひょろろ〜

 タイミングよく僕のスマホにLINEでメッセージが届いた。もうなんとなく誰からのメッセージか分かる。でもあえて一応、通知欄を見てみることにする。……やっぱ鈴谷じゃん。なんなんだよ一体……。

『なんか今ムカついたんだけど。かずゆき、鈴谷の悪口言わなかった?』
「知るかバカタレがッ!!」

 僕は怒りに任せてスマホを座布団に向かって投げた。ワン
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