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忘れ形見の孫娘たち
3.爺様のスイカ
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で大淀さん、うちの爺様とはどういうご関係ですか?」
「3年ほど前、ひこざえもん提督が私達の鎮守府に着任してから、私は任務娘としてひこざえもん提督を支えてまいりました。それこそ、毎日一緒にいました」
「はぁ……」
「提督は元気で豪快で……いつも私達を楽しませてくれる、とても楽しい方で……」

 まぁ確かに豪快というところは否定出来ないなぁ。

「私が……艦娘として出撃することが決まった時には……ひこざえもん提督は……まるで自分のことのように……ううっ……喜んで……ぐすっ……くれ……」

 感極まってきたのだろうか……大淀さんは再び両手で口を押さえ、さめざめと泣き始めた。僕のせいではないのだが、どうも女の子が泣く光景を見ると、無条件に罪悪感というメンタルダメージが連続ヒットしていく。

「だってかずゆきが提督との思い出なんか聞くから……」
「言うなよ……ちょっと反省してるんだから……」

 でもさー。気になるじゃんか。自分の祖父がこんな若くて美人な人とどうやって知り合ったのかさー。しかも泣き崩れるぐらいに仲良くしてたって相当だよ?

「……ひこざえもん提督、いつもあなたの事を話してくれてましたよ?」
「へ? 僕の?」
「ええ。なんせ私はずっと一緒にいましたから。ひこざえもん提督とはいろいろお話させていただきました」
「どんなことを言ってたんですか?」
「自分が鎮守府の運営に関わるようになったのは、元をたどれば孫のあなたがパソコンなんてものに興味を持ったからだって」

 ああ、そういや僕がプログラマーになったのが癪に障ってパソコン覚えたって言ってたもんね。……ちょっと待て。なんでパソコンに興味を持ったイコール大淀さんや鈴谷たちと出会うって方程式が成り立つんだ?

「和之さん、プログラマーをされてるんですよね」
「そうですよ。そんなことも祖父はあなたたちに話していたんですか?」
「はい。あいつのおかげで私達と知り合えたことがムカつく……といつも言ってました」

 涙目のまま笑顔でそう答える大淀さんには悪いが、この時僕は心の底から爺様を張り倒したいと思った。いつになるかはわからないが、次爺様に会った時は絶対に張り倒す。

 鈴谷は鈴谷で、僕と大淀さんの会話に乱入するのは諦めたのか、スイカを食べては種を口から窓の外へ向けて発射していた。

「ぷぷぷッ……」
「おい鈴谷」
「ん? かずゆきどしたの?」
「どうでもいいけどスイカの種をうちの敷地に撒き散らすのはやめなさい」
「どうでもいいなら別にいいじゃん。うりゃー。ぷぷぷッ」

 こっちに口を向けて尖らせ、僕に向かってスイカの種を発射しようとする鈴谷。お前は小学生か……部屋の中で種を撒き散らそうとするんじゃあないっ。

「いや、なんか邪魔しちゃ
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