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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第二十九話 ダンス、ダンス、ダンス!!なのです。
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ーの手が宙で静止した。目の前の相手もまた、形の良い脚を投げ出してしりもちをついている。そしてその灰色の瞳はミュラーをまっすぐに見つめ上げていた。素晴らしく美貌の女性だった。その形のいい唇はかすかに開いている。

 フロイレイン・フィオーナだった。だが、ミュラーは相手の顔を知らなかったのである。知っていたら卒倒したに違いない。そしてフィオーナもまた、ミュラーの事を知らなかったのである。原作やOVAで見たと言ってもこの世に生まれて十数年たてば輪郭についての記憶は薄れてしまう。

「あ・・・・・」

 ミュラーは顔が赤くなり、次に青くなり、次いで汗が出てくるのを覚えていたが、ここで引き下がるわけにはいかない。ぐっとこらえて腹に力を入れ、何とか立ち直ると、手を差し伸べた。

「ご、ごめんなさい。私ったら、ぼ〜っとしていて!!」

 フロイレイン・フィオーナがミュラーの手をつかんで、顔を赤くして立ち上がった。ひいやりとしたすべすべした手の感触がミュラーの手を包んだ。

「い、いえ!こちらが悪いのです。お怪我はありませんか?」
「は、はい!大丈夫です!」

 二人は立ち上がった。ミュラーはハンカチを出してフィオーナの埃を払ってあげた。

「あ、ごめんなさい。大丈夫です。あなたのハンカチが・・・・」
「いや、いいのです。小官が悪いのですから、ご無礼をいたしました」
「もう気にしないでください。ありがとうございます。大丈夫です」

 フィオーナはにっこりした。その笑顔にミュラーの心臓が二オクターブ跳ねあがって鼓動を発した。

「お一人なのですか?」

 我ながら何という間抜けな台詞だと思いながら、ミュラーは思わずこぶしを握りしめていた。

「はい。パーティーホールに行ってみたんですけれど、なんだかなじめなくて、それでこうして風に当たっていました。でも、もう帰ろうかなって・・・・。私、男性の方と話すのはあまり得意でなくて・・・・」

 ミュラーは意外な感に打たれていた。相手の女性は文字通りとても綺麗な人なのだが、話し方がまるで初心な女子学生のようではないか。おかげでというかミュラーは自分の恥ずかしさをすっかり忘れてしまっていた。

「私もですよ。僚友からやいのやいの参加するように言われましたが、どうもああいうのは苦手で・・・・。こうして逃げてきてしまいました」
「???」

 フィオーナが不思議そうに顔を心持傾けた。

「つまり、その、なんですか、女性の方とお話しするのは苦手なのです」
「そうなのですか?」
「ええ。大勢の男兄弟の仲で育ったせいでしょうか。あまりそう言ったことに縁がなかったのです」

 気が付けばミュラーは自分の生い立ちのことを話していた。本来ならそんなことを話す場ではなかったのか
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