ワガママ
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クリしたのか、俺の服を掴む。
「本当ですか!?ウェンディが生きてるんですか!?」
「あぁ。お前の手、見てみろ」
そう言うとシリルは自分の左手を見つめる。その左手には、水色に光る宝石がついた指輪が輝いている。
「絆の指輪は、身に付けている者が片方でも死ぬと両方とも砕けるんだ。だが、今お前の手にそれがついてるってことは?」
「ウェンディは無事・・・ってことですか?」
彼のその言葉にうなずくと、シリルは嬉し涙を流し、顔を手で覆う。
「本当なんですね・・・大丈夫なんですね・・・」
「あぁ」
嬉しそうに何度も何度も確認するシリルを見て、少し罪悪感が芽生えてくる。本当は絆の指輪にそんな効果なんかない。いや、もしかしたらあるのかも知れないけど、それは俺が知るところではない。
だけど、今はシリルを落ち着けるのが最優先だ。それに、ウェンディなら大丈夫なような気がする。妖精の尻尾は結構強運の持ち主が多いからな。
「ウェンディは無事だ。そして、あいつと笑顔で再会するには
ノーランを倒さなければならない。わかるな?」
「・・・はい!!」
顔をゴシゴシと拭いて気合いを入れたシリルは、両手で拳をを強く握り立ち上がる。
「お前はもう滅悪魔法は使えない。その実力じゃあ、俺には勝てない!!」
地面を蹴りシリルへと突撃してくるノーラン。それに対し、少年は静かに構え、敵が向かってくるのを待つ。
「シリル!!危ないよ〜!!」
「待て」
シリルがノーランが接近しているのに動こうとしないのを見て慌てたセシリーがそう言うが、俺はそれを片手で制止する。
「今のシリルなら大丈夫だ。それはお前が一番わかるはずだろ?」
「・・・うん!!そうだね〜!!」
一瞬迷ったみたいだったが、すぐに考え直し元気にうなずくセシリー。後ろでそんなやり取りが行われていることに気付いていない少年は、迫ってくる悪魔に魔法の照準を絞っていた。
「水天竜の・・・鉄拳!!」
「!!」
目と鼻の先にまで迫ってきていたノーランに、水と風を合わせた拳を打ち出すシリル。
「ぐっ!!」
ノーランは予想の上を行く速さで放たれたそれに反応できず、攻撃を受け後方へと飛ばされる。
「今の風って〜?」
彼のさっきの攻撃を見て、何かを感じ取ったセシリーは頭に疑問符を浮かべている。それはおそらく・・・
「この・・・!!」
地面に着地した悪魔。彼はキッとシリルを睨みつけると、雷の槍を生成し投げ放つ。
「水天竜の・・・翼撃!!」
自分の魔法である水とは相性がよくないはずのノーランの魔法。しかし、彼は魔力を纏わせた腕を振るい、その攻撃を蹴散らしてみせる。
「バカな・・・なんで・・・」
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