49.邪竜葬礼の誓い
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これもマソ様への奉仕活動と思って頑張りますよ……」
肩を落としてとぼとぼ割り当てられた部屋へ向かうミリオンの背中を見送りながら、ロイマンは次の協力者を部屋に招き入れる。
「君とは初めましてだったかな?『シユウ・ファミリア』所属、フー・リィライ君」
「仕事中に抜け出して来たんで手短にお願いできますかね……」
「用事そのものは大したことではありませんよ。早ければ半日で片がつく」
困ったような表情を浮かべる礼儀正しい青年に、ロイマンはにっこり笑いかけて――。
「きみ、オーネストからギルド未確認未登録のドロップを貰ったそうだね?確か名前は、ええと――『黒竜の牙』だったかな。貸してくれるとありがたいんだ」
「………………何故、貴方がそれを知っているんでしょうかね」
この街で10人にも満たない程度の人間しか知らない事実を、さらりと突きつけた。
――半日後。
「うわー、これ絶対ヤバいて。流石は三大怪物のドロップ……禍々しいっつーか触ったら呪われそうなレベルだね」
「長時間触らない方がいい。友達曰く、本物の呪物と遜色ないレベルの力が籠っているらしいからね………こうして近くにいるだけでも、レベルの低い人には精神的に結構クる」
「やれ、そこまでの代物ですか。シユウ様自ら封印用の箱を作ったとは聞いていましたが、やはり黒竜は我々の想像を越える……」
その個室には、ロイマン、ミリオン、フーの3人が『黒竜の牙』を囲う形で座っていた。
ミリオンは非常に珍しい魔法を習得している。
『ミラークラウド』――杖などの補助道具は必要なく、代わりに二つの媒体が必要になる非常にレアな魔法だ。ミリオンはこの魔法を使う事で、「鏡」に「物体の持ち主」の姿を投射することが出来る。簡単に言えば、彼女はある日街で偶然落とし物を拾った時、その落し物の主を鏡に写すことが出来るという訳だ。それゆえ彼女の元には定期的に行方知れずになった人物を探す人が訪れる。
――なお、相手が死んでいる場合は鏡が割れる。理由は不明だが、それゆえ彼女は常に小さな鏡を複数持ち歩いている。時には依頼者に逆上されることもあるが、それは彼女にしか出来ない仕事であることを本人が一番分かっている。不真面目なように見えて、存外に損な性分だ。
「あ゛ー………こんだけ大物の魔物追いかけるのは初めてなんすけど。っつーか、そっちの黒いガキは結局なんなんすか?ウチ、出来ればこの魔法の事知られたくないんすけど」
「私だってこの牙を持っている事を知られたくなかったんだ。お互い様でしょ?」
二人の視線はどこか冷たい。互いに互いの存在をそれほど快く思っていないのが伝わってくる。しかし、この牙がないことにはミリオンは黒竜の監視が出来ないので、両者の信頼関係はある程
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