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忘れ形見の孫娘たち
2. 鎮守府に顔出してみてよ
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 ……で、ここからは彼女の正体を突き止める時間だ。

「ところでさ。えーと……鈴谷さんは」
「呼び捨てでいいよ。鈴谷も和之のこと呼び捨てするから!」

 あらまぁ! ファーストネームで呼び捨てするだなんて馴れ馴れしいわねこの小娘ッ! まぁいいか。

「分かった。んじゃ……えーと……鈴谷はうちの爺様とはどういう知り合いなの?」
「提督はうちの鎮守府を率いてたんだよね」
「鎮守府? なんだそりゃ?」
「海軍施設」
「海軍? いまどき? 自衛隊じゃなくて?」
「そうだよ?」

 いや確かにうちの爺様は戦中は志願兵として軍にいたらしいけど、確か陸軍だったような……それも運良く戦闘には参加してなかったと思うけど……

「いやいや冗談やめて下さいよ鈴谷くん。大人をからかうのもいい加減にしたまえ」
「ひどっ」
「いやだってそうだろー。今は自衛隊なんだから海軍なんてあるわけありませんやん。鎮守府なんて施設きいたことあらしませんがな」
「いやいやいやマジだから。つーかリュウジョウさんよりヒドい似非関西弁やめてマジキモい」

 電波か? この子はデンパなのか? 電波を終始受信してるから髪の色が非常識な水色なのか?

「おっかしーなぁ……提督から聞いた話とだいぶ違う……」
「ん?」
「いや提督とさ。初めて会った時に和之の話してたんだよ」

 ほう。なんか興味あるね。

「爺様、僕のこと何て言ってたのさ?」
「えーとねー……」

――アイツは馬鹿で押しが弱いから、お前ならすぐ落とせるぞ

「て言ってた!」
「……」
「どーするぅ? かずゆきー?」
「どうするじゃありませんッ」

 僕は今、生まれて初めて爺様を張り倒したいと思った。女の子になんつー話をしてるんだ爺様……。

「それはそうとね。和之とおばさんに鈴谷ちょっとお願いがあるんだ」

 さっきまでケラケラ笑っていた鈴谷は、僕と母ちゃんに対して急に背筋を正し、真面目な顔でこう言い始めた。

「実はね。鈴谷以外にも提督にお世話になった子がたくさんいるんだ」
「そうなの?」
「うん」
「……ひょっとしてみんな女の子なの?」
「うん」

 老いてなお盛んとはこのことか……それとも婆様が逝去したことで劣情のタガが外れたのか……元から男性ホルモン多そうな人だったけど……。でも浮気とか一回もないって婆様言ってたから……ある意味高齢者デビューってやつなのか?

「?」
「あーいやなんでもない。続けて続けて」
「うん。でね、さっきみんなに連絡取って提督のこと伝えたんだけど、やっぱりみんなも提督に直接お別れの挨拶をしたいんだって」
「何人ぐらいいるの?」
「えーと……とりあえず二百人近くはいるかな……」
「にひゃ……?!」


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