1.爺様、逝去
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「それで爺様は毎日ゲームやってたんだけど、そのパソコンをどうするかーと思ってな」
まぁ確かにパソコンって高額な上、中にどんなデータが残ってるか分からない。人のパソコンの中身はプライバシーの塊だ。爺様的には決して中を見られたくないはずだが……そうも言ってはいられない。
「んー……んじゃ中を見てみようか? 父ちゃんはパソコンわかんないだろうし」
「そうか。んじゃお前に処分を頼む。なんなら持って帰っていいぞ」
というわけで、とりあえず中に何が入っているのか僕が確認することになった。最初は母ちゃんも『私も見たい!!』と騒いていたが、さすがにかあちゃんに中身を見せるのは孫の僕も気が引ける。分かってくれ母ちゃん。男はいくつになっても男なんだ。
爺様のパソコンはちょっと大きめのノートパソコンだった。あの、ノートなんだけど据え置きで使われるくらいの大きさのやつだ。僕は爺様のノートパソコンをテーブルの上に置き、冷えた麦茶を傍らに置いて扇風機をつけつつ、ノートパソコンに向かってパシンと手を合わせた。
「じゃあ爺様……すんませんが、失礼しますッ! 恥ずかしいファイルは極力見ないようにするからッ!! なむさんッ!!!」
電源ボタンを押すとすぐにディスプレイが点灯した。シャットダウンじゃなくて休止状態にしていたようだ。無線ランにつながったところを見ると、どうやらこの家ではwi-fiが実装されているらしい。昭和の香りがただようこの部屋の一体どこにルーターが仕掛けられてるんだろう? 電波の強さはそこそこある。
「そういや爺様、去年にWEPとWPAの違いがどうちゃらって僕に聞いてきてたっけ……」
そんな懐かしいことを思い出しながらパソコンの中を見ていこうとエクスプローラーを開いた。ネットワークドライブが2つほど割り当てられているあたり、どうやら爺様は自宅サーバーを建てているようだ。なにやってんだ爺様……。
パソコンのデスクトップを注意深く観察する。『和之へ.txt』なるファイルを見つけた。
「……お。なんかソレッポイものはっけーん」
ダブルクリックして中を見てみる。
――余計なものは見るな。あと、みんなのことを頼んだぞ
みんなって誰のことだ? ……つーかさ。こういうテキストファイルを残すってことは、自分が死んだら僕が中を覗くって分かってたってことだよね。なんかムカつく。
ブラウザはクロミウムを使っているようだ。クロームではなくクロミウムを使っているところが、無駄なこだわりを僕に向かってアピールしているように感じて非常に腹立たしい。
「クロームでいいじゃん」
無駄にイラッとしながら、フとデスクトップのアイコンに目がいく。
「ん……艦これ?」
確かに爺様は好奇心
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