同い年
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
ーを睨みつけ悔しそうな顔をして見せた。
「さて……遊んでいる暇はないので本題を。」
「お前ほぼいつも遊んでるだろ?」
「ゲームを馬鹿にしないでもらいたいです。あなたこそ訓練をさぼっていますよね。……真面目になりなさい。」
へイルスに視線と釘を刺し、ティーは僕の方を見た。
「昔、それこそ何十年も前。国と呼ばれるものはひとつであったことは知っていますね?」
「……最初に破壊された国だろ。」
「はい。そして、その『国だったもの』は現在我々軍の本拠地となっています。」
「荒れ地にされたわけじゃねーからなぁ。瓦礫と死体を取り除いてちょっと建物直しただけらしいし。」
「『司書』の存在が確認されていますので、彼女の仕業とされています。単なる気まぐれという説が一般ですね」
気まぐれで一国を破壊した、誑惑の魔導師。さらに単独犯であるとされており、初等教育の時点で『司書に会ったら必ず逃げろ』と刷り込まれている。だが、実際に会わなければ分からないだろう、逃げる余裕すら失う彼女の風格は。
「……それで?」
「私は、『司書』が気まぐれで一国を破壊するような性格ではないと思うのです」
「なんだ、やけに変な指摘だな。お前会話したことあったか?」
「いえ、写真でしか姿も見たことがありません」
ちょうど昨日『司書』が現れた時、ティーは誰にも端末を持ち出してもらえず結局彼女の姿を見ることはなかった。そこそこ悔しがっていたようだが、元から表情のない彼女の悔しそうな様子など想像はつかない。
「そういう理由はなんだ、ティー。お前のことだ、なんの根拠もなしに言ってるわけじゃないだろ」
結論を急ぐように少し睨むと、彼女はこくりと頷いて一冊の本を取り出した。
「……それ、歴史書じゃねーか。年代的には…………、一回めの大戦の時代だな?」
「はい。……少し見ていただきたいものが」
ティーが地図の書かれているページを開き、机の上に広げる。国や村の区分も大戦の時代のまま書かれており、彼女はそのうちの一箇所を指差した。
「ここが初めて魔導師が攻撃した場所です。襲撃されたのは小さな村。あまり被害はなかったそうですが……」
言葉を切り、ティーは壁に貼られている現在の地図を今度は指差した。
「襲撃された村があったのは今でいうこの場所。……『司書』の意図は、汲み取っていただけたでしょうか」
ティーの目線には気づかなかったが、彼女の言葉に僕達はただ一回縦に頷いた。
聡明で残虐と噂される『司書』は、やはりその通り聡明で、残虐なのだ。
一度目の大戦と全く同じ場所を、二度目の大戦では完膚なきまで破壊したのだから。
「大変だよ!」「スクランブルだよ!」
唖然とする僕達と相変わらず仏頂面のティーの間に流れる冷たい空気を、元気な双子が吹き飛ばした。
「
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ