第18話
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上乗せしてくれたんじゃよ。いやはや。何ともありがたい話じゃ。」
「そうだったんですか………」
「貿易商か。道理で仕立ての良さそうな格好をしていたわけだぜ。」
「まあ、それに………今のクロスベルの状況を考えればこの程度の被害はむしろ軽いかもしれん。」
「え………」
「あの、それは一体………?」
トルタが口にした言葉を聞いたロイドは呆け、エリィは真剣な表情で尋ねたが
「おっと………これは余計な事を言ったかの。スマンスマン、忘れてくれ。」
トルタはごまかそうとした。
「おいおい、村長さん。そんな言い方をされたら余計に気になるっての。」
「………そうですね。思わせぶりすぎるかと。」
一方ランディは目を細めて指摘し、ティオもランディの指摘に頷いた。
「ハハハ、それもそうか。年寄りの世迷言かもしれんがそれでも構わんかね?」
「いや………どうか聞かせて下さい。どこにどんな手がかりがあるか分からない状況ですから。」
「ふむ、それならば………」
ロイドの返事を聞いたトルタは少しの間考え込んだ後、口を開いた。
「―――お前さん達『神狼』という言葉を聞いたことはあるかね?」
「『神狼』………」
「神の狼、ですか?」
「………データベースでも見かけた事のない言葉ですね。」
トルタに尋ねられたロイドとエリィ、ティオは不思議そうな表情をした。
「ふむ、やはりか………そうなると、街でこの話はもう伝わっておらんのじゃな。何とも寂しい限りじゃのう。」
ロイド達の反応を見たトルタは溜息を吐いた。
「えっと………その『神狼』というのは一体?」
「その昔、このクロスベルの地に棲んでいたという獣たちじゃ。白い毛並みを持つ狼の姿をしておったという。」
「それって………!?」
「今回の被害を起こしたのと同じ………?」
トルタの話を聞いたロイドとティオは驚いた。
「確証はない―――が、そうであっても不思議はない。古い伝承によれば神狼たちはただの魔獣ではなく、女神が遣わした聖獣じゃったらしい。古より、血で血を洗うような戦に巻き込まれてきたクロスベルの地………そこで人の愚かさを見守りながら時に気まぐれに無力な人を助ける………そんな存在だったらしい。」
「そんな伝承が………」
「そういえば………白い狼が出てくる童話を昔読んだことがあるような。たしか街の図書館に置いてあった気がする。」
「ふむ、おそらくその童話は伝承を下敷きにしとるのだろう。―――しかし、この数十年でクロスベルは変わってしまった。両帝国、共和国3方の影響下で貿易都市として発展するうちに過去の記憶は忘れ去られていった。そしていつしか………『神狼
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