第59話 転生・近藤勇
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戦場は旧幕府軍の死体で埋め尽くされていた。
誰もが負け戦だと思っていた。が、一人の男の出現で一気に活気を鳥も出した。
特に歓喜したのは新撰組だった。
「局長、生きていらっしゃたのですか?」
誰もが近藤が死んだと知らされていたからだ。が、みんなが駆け寄ろうとしているのは、まぎれもない近藤勇その人だったのだ。しかし、近藤は虎鉄を引き抜くと駆け寄ってくる者達に向かって一振り薙ぎ払った。
「え?」
駆け寄って行った者達は一瞬何が起こったのかわからなかった。わからないうちに足と胴が切り離されて死亡した。まさかの近藤の攻撃にパニックに陥った者達は将棋倒しとなった。近藤は倒れて動けなくなっている者達を構わず踏み殺していった。しかも、敵味方問わず斬り殺し、その顔には笑みさえも浮かべていた。
「うわぁー」
恐怖に駆られた者達は悲鳴を上げて逃げ出し、鉄砲を持っているものは近藤目がけて乱射した。が、まったく近藤には効いてはいなかった。
「局長、どうされたのですか?」
上野戦争での新撰組隊に参加していた原田佐乃助が近藤の前に立ちふさがった。
「おぉ、原田君、君は無事だったのだなぁ」
近藤はにやりと微笑んだ。
「ところで、原田君。トシはここにいないのかい?」
近藤はきょろきょろとこの惨劇の場を見まわした。
「副長はここにはおりません。局長、これはどういうことなのです?この状況に誠があるのですか?」
原田は近藤を睨みつけた。その声には涙が混じっていた。
「そうか、トシはいないのか」
原田の訴えなど耳にしていないような大きなため息をついた。
「近藤さん!!」
その様子に原田は怒りを込めて怒鳴った。
「仕方ない、原田君。君の体を歳三への伝言代わりに使うとしよう」
近藤は虎鉄を横一文字に振った。
(やばい!!)
原田の本能がとっさに反応し、槍を地に建てるようにして踏ん張った。が、圧倒的な剣圧にずたぼろにされて吹き飛び、地面を転がり倒れた。
(なんていう剣気だ)
原田はよろよろと立ちあがり、近藤を見据えた。
「原田君、君は殺さないよ。トシを、歳三を呼んできたまえ。私はここで待っている」
近藤の瞳が金色に不気味に輝いていた。
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