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ウルゼロ魔外伝 超古代戦士の転生者と三国の恋姫たち
少年、外史に降り立つの事
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腕も握って。額には脂が乗っていて、さらに見た目の醜さを引き立てている。
「アニキ、このまま連れて帰りましょうや。たっぷりと楽しんだから、こいつも連れてこの町からおさらばしちゃいましょうぜ」
「おで、だのじみなんだな〜」
「へへ、ここしばらく三国の連中が鼻っ柱を立ててばかりでなかなか表に出られなかったが…ようやく見つけた上玉だ。あまり手荒く扱うんじゃねぇぞチビ、デク」
チビとデクは、互いにアニキと呼ぶひげ男を見て、吐き気を催しそうないやらしい笑みを浮かべながら言った。それにつられてアニキも笑い返す。
「おい、早く兵を呼んだ方がいいんじゃ…」
「ここに来るまで時間かかっちまうだろ!その間にあの子が浚われちまうぞ」
「じゃあ、お前の腕ならあのデブ男に勝てるのかよ!」
「そ、それは…」
周囲の人たちは我が身かわいさだったり、相手にはかなわないという恐怖から、彼女を助けようとしない。
それを見て、少女はさっきまで自分の歌を聞いてくれていた人たちに対して絶望を抱いた。自分がたゆまぬ努力と、誰かの心を癒したいという願いから始めた歌なのに、いざ自分たちが危険にさらされると、こうも簡単に手のひらを返すのか。
「や、誰か…助けて…」
それでも少女は必死に助けを請い続けた。
(………)
ルークは、それを見て自分の腹減りのことなどすっかり忘れた。手に持っていたタバコの吸い殻を、デクの顔に向けてダーツの矢のように投げつけた。
「あ゛、熱ぃ!!熱いどぉ!?」
「あ…ッ!」
「デク!?って、おい!逃げるな!」
不意に顔を攻撃され、デクはタバコが当たった個所を押さえながら悶絶し、少女を離してしまう。その隙に、少女は握られた手の痛みを感じつつも三人からすぐに離れた。
「くそが!だ、誰だゴラぁ!!」
チビが声を荒げながら周囲を見渡す。いったいどこのどいつだとみていると、ルークが彼らの前に出てきた。
「おいそこのおっさん共、その女に何をしようと…」
三人組に爪与党としたルークの顔を見た途端、チビが中年の男に向けて興奮気味に叫んだ。
「おぉ、兄貴!こいつなかなかいい女ですぜ!」

ピキッ

「…あ?」
女…だと?
ルークには、実はある一つのコンプレックスがあった。それは…美しく整った容姿を持つ母親似の、男子にしては妙に女の子に近い顔である。髪の色も長くしてしまえば完全に女の子だとばれないくらいにだ。不細工じゃないだけ遥かにマシとも言えるが、身も心も男として生きてきたルークにとって…『屈辱』以外のなんでもなかった。
しかし、そんなルークの不快感を読み取りもせずにアニキは下卑た笑みを浮かべた。
「おぉ、確かに。なかなか綺麗な顔してんじゃねぇか。その妙な格好のせいで男くささを感じはするがよ」
「おでの好みだ〜」
デクがルークを見て、顔を赤
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