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ウルゼロ魔外伝 超古代戦士の転生者と三国の恋姫たち
少年、外史に降り立つの事
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一種の岩のようだ。
「へへ、そいつは俺でさえもうならせる腕っぷしの持ち主だ。その気になりゃ大木だって折っちまうぜ?」
ルークへの恐怖は残っていたせいもあって少々ひきつってはいるが、アニキはデクの力ならこの生意気な小僧に勝てると思っていた。
「こ、降参した方がいいんだな」
デクは、どういうわけかルークに降参を促してくる。悪党のくせに相手を気遣うというのか。その剛腕に剣を握って、ルークに向けて振り下ろした。
だが、チビの時以上の衝撃がアニキとデクの二人の目に飛び込む。
「う、嘘だろ…」
アニキは思わず声を漏らす。
デクの腕は、脂肪と筋肉が付きすぎている事もあってルークの3倍以上も太くなっている。だが、ルークはそんな相手の腕よりも幾分も細い腕で、あっさりと受け止めていたのだ。
握られた手首を離そうとするデクだが、ルークの手は全く振りほどくことができない。
「デク、てめえまで何してる!その餓鬼をさっさと始末しろ!」
「で、でもアニキ…こいつの手…全然振りほどけない…」
と、デクが言いかけた時だった。
ボキッ!!と何かがへし折れた音が鳴り響き、デクはその場で右腕を押さえながら膝を着いた。
「ぎゃあああああああああああああ!!!」
「で、デク!?デク、おい!しっかりしろ!」
思わずアニキがデクのもとに駆けつける。アニキはデクの右腕を見て、青ざめた。自慢の剛腕を持つはずのデクの腕が、見事にへし折れてプラプラとぶら下がっていた。
まさか、このガキの方がデクよりも力があるっていうのか!?
「ひ、ひどいやつだど…腕折るなんて…」
デクは顔を上げてルークを睨み付けようとした…が、直後にアニキと彼の間の地面にヒュンッ!と剣が降ってきて突き刺さった。ルークが、デクの持っていた剣を投げつけたのだ。
「「ひぃ!!?」」
突き刺さった剣を見て、さっきまでの威勢は完全に吹き飛んでしまったアニキとデクは互いに抱き合いながら腰を抜かしてしまう。
「いいや、慈悲深い方だぜ?腕を切断しなかっただけな」
冷たい視線で腰を抜かした二人を見下ろすルーク。やばい、こいつ本気でやる気だ!二人の本能がそう悟った。
「ち、畜生!覚えてやがれ!」
アニキはチビを無理やり蹴り起こし、デブに担がせてせっせと逃げ去って行った。
周囲の街の人たちは、すげえ…と、一目見たところでは明らかに優位に立っていたはずの三人組をあっさりと退けたルークに感動し、中には拍手を送る者もいた。
ふぅ、とルークは去っていく三人組を見ながらため息を漏らした。あんな奴らの相手をしないといけないだなんて、面倒なことこの上ないが、かといってああいう手合いに好き放題されかける女の子を見逃すことは、ヴァリエールの家の者である以前に、人として見逃すべきことではなかったのも事実だ。後悔などしてたまるものか。
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