第179話 徐元直 後編
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からして、徐庶の思惑に乗るはずがない。それを徐庶も自覚したのか自らの浅はかさを悔いている様子だった。徐庶の顔には「別の断り方を考えればよかった」と書いていた。
「まとまったようだな」
「単福、今宵はどうする予定だ?」
正宗は話がまとまったことに安堵し、徐庶に声をかけた。
「水鏡師匠と一緒に宿に泊まることになっています」
徐庶は何ともなし口にした。鏡翠は目を細め笑みを浮かべていた。
「おお!? では、妾の屋敷に泊まるのかえ?」
美羽は喜び徐庶に声をかけた。徐庶は彼女の言っている意味が理解できない様子で鏡翠のことを見た。
「単福、宿代が勿体ないと思い袁太守に頼んでいたのです」
徐庶は鏡翠の告白に顔を固まらせていた。
鏡翠は襄陽城に来るだいぶ前に美羽と連絡を取り屋敷に泊めて欲しいと頼んでいたのだ。これは徐庶も正宗も預かり知らないことだった。正宗は泊まる宿が決まっていないなら、城の部屋を貸そうと考えていたのだろう。事実、正宗は驚いた表情で美羽と鏡翠を見ていた。
「兄様、あれは一週間位前でしたでしょうか? 二週間後位に南陽に寄るので連れと一緒に泊めて欲しいと言っていたのです。連れが単福であったのですな」
美羽は思い出すように顎に指を当て喋りだした。
「袁太守にはご多忙でご迷惑かと存じましたが頼むだけ頼んでみようと思いました。でも、快くお受けくださり感謝いたします」
鏡翠は美羽に嬉しそうに言った。
「高名な水鏡殿じゃ。別に泊めるくらい大したこと何でもないのじゃ。単福も気兼ねせず泊まって欲しいのじゃ」
美羽は気さくな物言いで鏡翠と徐庶の顔を順に見た。
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