第179話 徐元直 後編
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ありました」
徐庶は平伏したまま自分の過去を語り出した。その口調は飾らない言葉だった。
「その答えは出たのか?」
「答えはまだ見つかっていません。ただ私は自分の心に従い生きます」
徐庶は顔を上げると美羽を見上げ言った。
「そうか」
美羽は徐庶の顔を見ると満足気に答えた。
「単福、妾の茶飲み友達になってくれぬか?」
美羽は唐突に徐庶に頼みごとをした。徐庶は美羽の頼みに驚いた表情に変わった。
「妾の茶飲み友達も嫌かえ?」
徐庶は美羽に返答を迫られるも言葉を窮していた。
「妾は余程そなたに嫌われているようだな」
美羽は困った表情で徐庶を見た。
「袁太守、そのようなことは」
徐庶は慌てた様子で美羽に弁明した。
「では、妾の茶飲み友達になってくれるのじゃな」
美羽は嬉しそうに徐庶に微笑んだ。
「時間をくださいませんでしょうか?」
徐庶は困った表情を浮かべ美羽に言った。彼女も流石に美羽の茶飲み友達は嫌だとは言いづらいのだろう。
「単福、袁太守たってのお誘いです。茶会の招きを断るのは無粋というものですよ。あなたは水鏡学院の学院長として、これからやっていくのです。袁太守と知遇を持つことは損なことではありません」
美羽と徐庶の様子を遠眼に見ていた鏡翠が助け船を出してきた。徐庶は鏡翠の言葉に観念したようだった。
「袁太守、茶飲み友達のお誘い快くお受けいたします」
徐庶は平伏して美羽に返事した。半年後、彼女は美羽に仕官することになった。後に徐庶はいろいろと悩んでいた自分が馬鹿馬鹿しかったと回想することになる。
「単福、嬉しいぞ。明日にでも茶会に招こうと思うが予定はどうなのじゃ?」
美羽は徐庶のいろよい返事に笑顔になり、早速茶会の誘いをしてきた。
「明日に、ございますか?」
徐庶は突然の茶会の誘いに驚いた表情を浮かべ、鏡翠の顔を見た。鏡翠は笑顔で徐庶のことをみていた。徐庶は鏡翠が乗り気だと感じ、この誘いに応じることにした。
「喜んで参加させていただきます。恥ずかしながら、私はこの一張羅しかございません」
徐庶は自らが来ている平伏を見て、美羽に申し訳なさそうに言った。
「そのようなことか。気にすることはない。内々の茶会じゃ。平民出の者達もいるし、みんな普段着で参加する」
美羽は気にした様子もなく徐庶の懸念を一蹴した。
「それを聞き安堵いたしました」
美羽の言葉に徐庶は言葉と裏腹に落胆しているようだった。徐庶の衣服は上等な服でなく着古したように見えたが、よく洗濯され清潔に見えた。徐庶は綺麗な服が無いといい、美羽の不興を買おうと思ったが考えが甘かった。美羽の様子や言葉じり
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