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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
二の刻・青年期前半
第二十六話「占いの示す場所」
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しかし?」
「残念じゃがこれ以上は分からぬ。何やら得体の知れぬ力が邪魔をしておるんじゃよ」
「生きているんですよね」
「それについては間違いが無い」
「そうか…。良かった」

零れる涙を隠す様に顔を伏せるリュカの肩をヘンリーは軽く叩いてやる。

「お前さん達にはこれから数多くの困難と試練が待っておる事じゃろう。道に迷った時にはこの町に来るとええ。ワシが何時でも占ってやるからの」
「ありがとう、お婆さん」
「なあに、かわまぬよ。ひょひょひょひょひょ」




―◇◆◇―


すっかりと調子を取り戻した占い婆さんに別れを告げ、武器や防具などの装備を買い揃える為に町中を歩く二人。
あの大神殿での地獄の日々、そして今も世界を混沌に沈め様とする光の教団の暗躍。
それらを思うとこの町の賑やかさに若干の違和感を感じるがそもそもがこの光景こそが本来あるべき姿。
この光景を奪わせない為にもと、決意を新たにする二人であった。

装備はリュカが刃のブーメランに青銅の盾・鉄の鎧・鉄兜、ヘンリーがチェーンクロスに同じく青銅の盾・鉄の鎧・鉄兜。
それに薬草や毒消し草などの消耗品や当面の食料などを買い揃え、旅の為の馬車を手に入れる為にまずはオルタムが経営すると言うオラクル屋へと向かう。

「おお、お前さん達か。待っておったぞ」
「待っていた?」
「旅の為の馬車を探して居るのじゃろう?詳しい話をするからまずは店の中へ入ってくれ」

町の際奥にある店までやって来ると、二人に気付いたオルタムは笑いながら店の中へと誘う。
店の中は閑散としており、どうやら商品などは別の場所に保管しているらしい。

「で、馬車の事なんだがな。いくらになる?」
「命の恩人じゃ、金など要らぬ」
「ほ、本当か!?」
「と、言いたいんじゃがな」

金はいらないと言うオルタムにヘンリーは目の色を変えるが、オルタムの返事には落胆の色を隠せなかった。

「ワシにも生活があるしの、さすがに馬車の様に高額な物をタダでやる訳にはいかんのじゃよ」
「まあ、当然だよな」

先を急ぎたいのに馬車を購入する為にはしばらくこの町に留まり、魔物を退治して宝石を手に入れるか、町で働いて報酬を貰うかするしかない。
さすがにカジノで一攫千金を狙うほど世の中を舐めてはいない様だ。
そんな溜息を吐く二人にオルタムは話しかける。

「そこでじゃ、もしかしたらの話じゃがタダで馬車を手に入れられるかもしれぬぞ」
「どういう事だ?」
「二人共、ついて来てくれ」

店の奥に進むオルタムについて行くと其処には朽ち果て、ボロボロになった馬車が佇んでいた。

「まさかタダの馬車ってこれの事じゃないだろうな」
「まさかも何もこの馬車の事じゃよ」
「馬鹿にしてるのか?
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