10話
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に向けられる。
さて、今の2人の状況を思い出してみよう。
鬼一はベッドの上で横になり、その両手はセシリアの頬に添えられている。
セシリアはそんな鬼一に跨っていて、両手は肩の上に置かれている。
つまりは、そういうことだ。
「っセ、セシリ、セシリアさんっ!」
「っき、鬼一さん! 申し訳ございませんっ!」
今の状況を客観的に見てみると、恋人のそれであると理解した2人は焦ったような声を張り上げる。
慌ててセシリアはベッドから降りる。顔と耳が真っ赤に染まっていて、本人も自覚しているのか窓際に向かって早足で歩く。今の顔を鬼一に見られたくなかったからだ。
だが鬼一はベッドから動くことが出来ない。ゆでダコのように真っ赤になった顔はあさってに向けられる。が、楯無から見たら丸見えであることには変わらないので、ただ恥ずかしいの一言だった。
そんな2人を見て、くすくすと忍び笑いを零しながら鬼一に近づく楯無。
―――さて、色々と言いたいことはあるけども、まずは―――
今の光景に対して精々弄り倒してやろう、と楯無は決めた。
戦いから日常に変わる。
――――――――――――
時同じくして、別の病室にいた一夏も目を覚ました。
身体の痛みそのものはそこまでなかったが、ただ、極度の運動をした直後のように身体が重かった。状況が飲み込めていないのか、視線を周りに彷徨わせる。そこで自分が保健室かどこかのベッドで寝ていたことが分かった。
―――……あれ? 俺、どうなったんだっけか? 零落白夜の一撃が当たって……。
「っ!? そうだ! どっちだ!? どっちが勝ったんだ!?」
痛みを訴える身体を無視して一夏は勢いよく起き上がる。自分の覚悟を貫けたのか、それとも駄目だったのか。それだけが気になった。
「結果は引き分けだ。月夜とお前の一撃は、結果として同時にシールドエネルギーを0にした」
一夏を囲っていたカーテンを開けたのは千冬だった。その言葉に一夏は脱力して再度ベッドに身を倒す。
―――勝つこと、できなかったのか……。
身体を包み込む倦怠感。自分の覚悟を肯定させることが出来なかった。相手の考えを否定することを出来なかった。ただそれだけが悔しかった。
そんな一夏に対して、千冬は2人の戦いを見て疑問を抱いていたのか問いかける。
「一夏。お前と月夜の間に何かあったのか?」
その言葉に一夏は身を固まらせる。正直話したくないと思う。だが、千冬の目と言葉がそれを許さないと語りかけている。
千冬の目から見ても明らかにおかしかった。IS素人の戦いのそれではなく、鋼のような意志と強固な信念のぶつけあう戦いだった
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